新・御宿かわせみシリーズ一覧
時は移り明治の初年。時代の混乱は、「かわせみ」にも降り懸かっていた。東吾は、戦乱で行方不明、源三郎は凶賊の手にかかり落命、麻生家も源右衛門ら3名が殺害された。
だが、麻太郎、花世、源太郎ら次代を背負う若者たちは悲しみを胸に抱えながらも、激動の時代を確かな足取りで歩き出す――
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青い服の女
大嵐で休業を余儀なくされた旅宿「かわせみ」が修復し、お伊勢まいりから戻った面々。相も変わらず千客万来の明治篇七巻目。
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お伊勢まいり
お伊勢まいりに参加した「かわせみ」の面々。東海道から伊勢路へと、慣れぬ旅を続けるが、道中で次々と怪事件が起こる。
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千春の婚礼
婚礼の日の朝、千春の頬を伝う涙の理由を兄・麻太郎は掴みかねていた。「かわせみ」の若者たちに訪れた転機と事件を描く。表題作ほか全五篇収録。
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蘭陵王の恋
麻太郎は親友で御所につかえる楽人の清野凜太郎から、妹の千春への恋心を打ち明けられた。千春の返事はすげなかったが、凜太郎が亡兄の未亡人から再縁を求められる騒動が持ち上がり、やがて千春の真情が明かされます。
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花世の立春
「立春に結婚しましょう」7日後に急に祝言をあげる決意をした花世と源太郎はてんてこ舞い! 若き2人の門出を描く表題作ほか6篇。
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華族夫人の忘れもの
「かわせみ」に逗留する華族夫人は、思いのほか気さくな人柄だが、築地居留地で賭事に興じ千春を心配させる。果たしてその正体は?
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新・御宿かわせみ
幕末の戦乱で東吾は行方不明、源三郎も落命するが、花世や麻太郎、源太郎たちは逞しく成長し、激動の時代を確かな足取りで歩きだす
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浮かれ黄蝶
江戸の世に別れを告げ、次巻より文明開化の明治に舞台を移す本シリーズ。「かわせみ」最後の江戸情緒を描いた本書はやさしく美しい
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小判商人
維新前夜の混沌とした世情下、私利私欲に走る金の亡者に東吾と源三郎、そして新世代の麻太郎と源太郎が立ち向かう! 七篇を収録
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十三歳の仲人
お吉の秘蔵っ子・お石も年頃となり、嫁入り話がきた。「かわせみ」の人々に見守られ、晴れて意中の人と結ばれるまでを描く全八篇
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江戸の精霊流し
「かわせみ」に新しく雇われた年増の女中おつまの人生と精霊流しの哀感が胸に迫る表題作ほか全八篇。
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鬼女の花摘み
花火見物の夜、麻太郎と源太郎は、腹をすかせた幼い姉弟に出会う。二人は母親の情人から虐待を受けていた。表題作他、全七篇収録
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初春弁才船
消息を絶った荷船。その船頭の息子と知り合った東吾らが心配する中、父親の船頭は無事生還したのだが――。表題作ほか全七篇収録
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佐助の牡丹
富岡八幡宮恒例の牡丹市で持ち上がった時ならぬ騒動。一位の花は果たしてすり替えられたのか? 表題作ほか「梅屋の兄弟」など全八篇
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横浜慕情
外国船で賑う横浜を訪れた東吾。美人局に身ぐるみはがれた英国人船員のために一肌ぬぐことになるのだが……。表題作ほか全八篇
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長助の女房
長寿庵の長助がお上から褒賞を受けた。町内あげてのお祭騒ぎの中、心境複雑な女房おえいの目前で事件が起きた。表題作ほか、全八篇
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宝船まつり
宝船祭で幼児がさらわれた。時を同じくして名主の嫁が失踪。事件の背景には二十年前の同様の子さらいが……。表題作ほか全八篇
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春の高瀬舟
高瀬舟で江戸に戻る途上で殺された米屋の主人。懐には百両もの大金が。金の使途から下手人を推理する東吾の活躍。表題作他全八篇
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源太郎の初恋
源太郎七歳の初春に、花世と放火事件に巻き込まれ……。表題作他、東吾とるいの長子・千春誕生の顛末を描く「立春大吉」など全八篇
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清姫おりょう
宿屋を狙った連続盗難事件の陰にいま江戸で評判の祈祷師、清姫稲荷のおりょうの姿がちらつく。果してその正体は。表題作ほか七篇篇
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犬張子の謎
るいが花見の途上で訪れた玩具屋の少年が大店の跡目相続にまき込まれた。事件の謎は祖父が作った犬張子に……。表題作など全八篇
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お吉の茶碗
「かわせみ」の女中頭お吉が、大売り出しの骨董屋から古物を一箱買い込んできた。やがて店の主が殺され、東吾はお吉の買物の中身から事件解決の糸口を見出す。表題作など全八篇を収録。
「御宿かわせみ」シリーズ
江戸の大川端にある小さな旅籠「かわせみ」。
若き女主人るいは、元・同心の娘。
誘拐、詐欺、敵討ちなど、大小さまざまの事件に巻きこまれながら、るいは一つ年下で幼馴染の恋人・神林東吾と協力し、解決の途をさぐってゆく。
一九七三年から続く本シリーズは数度にわたりテレビドラマ化。日本最高峰の人情捕物帳「御宿かわせみ」シリーズ。
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かくれんぼ(新装版)
品川にある屋敷の庭でかくれんぼをしていた源太郎と花世は、隣家に迷い込み、人殺しを目撃する。事件の背後には――。全八篇収録
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秘曲(新装版)
能楽師・鷺流宗家先代の隠し子に迫る魔の手……。怪事件解決の後、自分の隠し子らしき男児が現われ、東吾の心は揺れる。全七篇
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雨月(新装版)
「かわせみ」の軒先で雨宿りをする男は、生き別れの兄を探していた。再会を果たすも兄弟は雨の十三夜に……。表題作ほか七篇を収録
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八丁堀の湯屋(新装版)
八丁堀七不思議の一つ、“女湯の刀掛”が生んだ悲劇を描いた表題作ほか七篇。大川端の旅宿「かわせみ」の面々がおくる人情捕物帳
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恋文心中(新装版)
講武所教授方と軍艦操練所通いの新生活に入った東吾は、盗まれた恋文の相談を受ける。表題作他、話題を呼んだ「祝言」等七篇を収録
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神かくし(新装版)
神田周辺で女の行方知れずが続出、神かくしは恋の辻褄あわせか。表題作ほか「みずすまし」「六阿弥陀道しるべ」など粒揃いの七篇
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鬼の面(新装版)
節分の日に、日本橋の信濃屋の主人が殺された。逃げた男は、鬼の面をつけていたという……表題作ほか「春の寺」など全七篇収録
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夜鴉おきん(新装版)
江戸市中で押込みが続発。そんな中、三味線流しのおきんから、結び文が「かわせみ」に届けられる。表題作ほか、全八篇を収録
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二十六夜待の殺人(新装版)
二十六日の月の出を待ち、一句ひねろうと同好の士と目白不動に出かけた俳諧師が川に浮かぶ……。表題作のほか、全八篇を収録
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閻魔まいり(新装版)
浅草寺で娘が晴れ着を切られ、数日後、一緒に閻魔まいりに行った堀留小町が殺される。表題作ほか、人気作品「源三郎祝言」など全8篇
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一両二分の女(新装版)
商用で江戸へ来た男が次々と姿を消す。どうも“安囲い”の女が関係しているらしい。表題作ほか「藍染川」「美人の女中」など全8篇
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白萩屋敷の月(新装版)
兄の使いで、根岸の白萩屋敷に出かけた東吾は、美しい女主人の顔に残る火傷の痕に一驚する。人気投票で一位の表題作ほか、全八篇
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酸漿は殺しの口笛(新装版)
小川のほとりで酸漿を鳴らす娘は別れた母を探していた……。表題作ほか、「玉菊燈籠の女」「能役者、清太夫」など全六篇を収録
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狐の嫁入り(新装版)
本所で“狐の嫁入り”騒ぎが。東吾と源三郎が真相究明に乗り出し、るいも一役買うことになったが……。表題作ほか全六篇を収録
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幽霊殺し(新装版)
シリーズ第五集は、「源三郎の恋」や「秋色佃島」「三つ橋渡った」など人気作品を含む全七篇を収録。新装版で読みやすくなりました
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山茶花は見た(新装版)
品川の廻船問屋への押し込みは、乳母の娘の証言で捕らえられたが、賊が島抜けをし、娘は「かわせみ」に預けられる。表題作ほか全八篇
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水郷から来た女(新装版)
江戸で次々と起こる誘拐事件。一方、愛らしい女剣士が「かわせみ」に現れる。表題作ほか、「秋の七福神」「湯の宿」など全九篇収録
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江戸の子守唄(新装版)
「江戸の子守唄」「お役者松」「迷子石」「幼なじみ」「宵節句」「ほととぎす啼く」「七夕の客」「王子の滝」など、四季の風物を背景に、下町情緒ゆたかにくりひろげられる異色の捕物帳。
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御宿かわせみ(新装版)
大川端の小さな宿“かわせみ”の女主人るいと与力の弟で若年ながら剣の達人東吾は、幼馴染の忍ぶ仲。江戸情緒あふれる人情捕物帳
著者プロフィール
1932年東京府の代々木八幡宮宮司の娘として生まれる。
日本女子大学を卒業後、戸川幸夫に師事、その後、長谷川伸の主宰する新鷹会で修業。
59年「鏨師(たがねし)」で第41回直木賞を当時の戦後史上最年少で受賞。テレビドラマ「女と味噌汁」「ありがとう」「肝っ玉かあさん」シリーズなどの脚本家としても多くのヒット作を生み出す。
73年から「小説サンデー毎日」に「御宿かわせみ」を連載、82年以降は「オール讀物」へと誌面を移す。
87年女性初の直木賞選考委員に就任、以降23年間にわたり選考委員を務めた。
91年『花影の花』で吉川英治文学賞、97年紫綬褒章、98年菊池寛賞、2004年文化功労者、08年『西遊記』で毎日芸術賞、16年文化勲章。
23年逝去、享年91。