書評

はじめに

文: 大矢博子

『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』(平岩弓枝 著 大矢博子 選)

『「御宿かわせみ」ミステリ傑作選』(平岩弓枝 著 大矢博子 選)

 江戸時代末期を舞台に、大川端の小さな旅籠「かわせみ」が私たちの前に登場したのは一九七三年の年明けでした。それから四十五年。「御宿かわせみ」と、舞台を明治初頭に移して第二世代が活躍する「新・御宿かわせみ」はあわせて四十巻を超え、現在も継続中の大長寿シリーズとなりました。ドラマ化・舞台化も数多く、もはや日本を代表する江戸市井シリーズの金字塔と言っていいでしょう。

 旅籠「かわせみ」の女主人るいと恋人の東吾を中心にした、魅力的なレギュラーメンバーの人間模様。「かわせみ」を訪れる人々の悩みや厄介ごとを物語に仕立てるグランドホテル形式の面白さ。細やかに綴られる、四季折々の江戸情緒。「御宿かわせみ」の魅力はこれまでも多く指摘されてきました。

 ですがもうひとつ、注目していただきたい大きな魅力があります。

 ミステリとしての、捕物帳としての、面白さです。声を大にして言いたいのですが、「御宿かわせみ」にはびっくりするほど秀逸なミステリ作品が多いんです!


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「御宿かわせみ」ミステリ傑作選平岩弓枝 大矢博子選

定価:本体690円+税発売日:2018年12月04日