小泉純一郎から安室奈美恵まで――平成育ちによるはじめての決定版平成史が誕生した。気鋭の歴史学者として『中国化する日本』で脚光を浴び、その後、双極性障害による重度のうつの経験をもとにした『知性は死なない』で話題を集めた著者が、「歴史学者として著す最後の書物」と語る、渾身の一作。昭和天皇崩御から二つの大震災を経て、どんどん先行きが不透明になっていったこの国の三十年間を、政治、経済、思想、文化などあらゆる角度から振り返る。新型コロナウイルスによる政治・社会の機能不全の原因も、「昨日の世界」を知ることで見えてくる。
序 蒼々たる霧のなかで
第Ⅰ部 子どもたちの楽園
第1章 崩壊というはじまり:1989・1ー1990 ふたりの父の「崩御」/消えた左右の抑圧/父なき社会への助走/子どもたちが踊りはじめる
第2章 奇妙な主体化:1991ー1992 運動しはじめる子どもたち/気分は「近代以降」(ポスト・モダン)/大学の変容が始まる/昭和の老兵が去りゆく
第3章 知られざるクーデター:1993ー1994 フェイクニュースだった大疑獄?/密やかな「父殺し」/転向者たちの平成/ 女という前衛を夢みて
第4章 砕けゆく帝国:1995 エヴァ、戦後のむこうに/帝国の造りしもの/連立の価値は/組織のかたち 人のかたち
第5章 喪われた歴史:1996ー1997 「戦後の神々」の黄昏/「戦前回帰」は起きたのか/死産した「歴史修正主義」/イノセントな時代の終わり
第Ⅱ部 暗転のなかの模索
第6章 身体への鬱転:1998ー2000 自殺した分析医/帰還兵の暴走/届かない郵便/「脱冷戦」政治の終わり
第7章 コラージュの新世紀:2001ー2002 エキシビションだった改革/地方への白色革命/崩壊するアソシエーション/SNSなきインフルエンサー
第8章 進歩への退行:2003ー2004 凪の二年間/工学化される「心」/韓国化される日本?/希望の居場所はどこに
第9章 保守という気分:2005ー2006 リベラルと改革の離婚/「あえて」の罠/ノスタルジアの外部/子どもたちの運命が分かれる
第10章 消えゆく中道:2007ー2008 現在の鏡のように/ひき裂かれた言論空間/セカイから遠く離れて/リブートされる平成
第11章 遅すぎた祝祭:2009ー2010 市民参加の果てに/あきらめの倫理学?/軽躁化する地方自治/「後期戦後」の終焉
第Ⅲ部 成熟は受苦のかなたに
第12章 「近代」の秋:2011ー2012 デモへと砕けた政治/「知識人」は再生したか/機動戦の蹉跌/残り火が消えるように
第13章 転向の季節:2013ー2014 知性の経済的帰結/失われた「マジ」を求めて/歴史の墓地/「戦後」という父が、帰る
第14章 閉ざされる円環:2015ー2017 平成知識人の葬送/世界が「セカイ」になるとき/欠け落ちてゆく内面/新時代への模索
第15章 はじまりの終わり:2018ー2019・4 西洋近代に殉じて/再東洋化するルネサンス/令和くん、こんにちは/いまでも平成(あなた)はわたしの光
跋 歴史がおわったあとに
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