『晩春』『麦秋』『東京物語』などの戦後の傑作で「日本の家族像」を確立したとされる監督・小津安二郎。しかし少壮気鋭の歴史学者は、「兵士・小津安二郎」の存在を、今ではあまり注目されない「失敗作」そして当時から現代にいたる膨大な文献を渉猟して炙り出した。中国大陸を転戦し、復員後、直接的には「戦争」を描写しなかったが、小津「らしくない」映画に、戦争の傷は生々しく刻印されていた。映画批評と歴史学が融合し、戦前、戦中、戦後を生き抜いた人々の思いが丸ごと伝わってくる、ユニークな、生きた歴史書。解説・古市憲寿
【目次】
序章 ピースの欠けたパズルー『晩春』批判
第1章 帝国の残影ー小津安二郎の『暗夜行路』
第2章 大陸の光景ー沈黙する前線
第3章 暴力の痕跡ー戦争の長い影
第4章 叛乱の季節ー中国化と日本回帰
終章 呪わしき明治維新ー『東京暮色』讃
増補1 田中眞澄氏の小津安二郎研究ー映画の歴史学
増補2 入れ替わることと一つになることーホー・ツーニェンの歴史実践
増補3 謎を謎のまま忘れないでいるためにー戦後映画史のなかの『火垂るの墓』
学藝ライブラリー版のあとがき 歴史とは「まわり道」
解説 忘れたことを忘れないために 古市憲寿
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