寺の門前に捨てられ、自らの名前以外、何も持たなかった孤児。
すべてを諦めてきた彼の目の前にあらわれたのは、
日本中の注目を集める高僧だった――。
鎖国時代に明から来日し、隠元豆、木魚、煎茶、椅子などさまざまな文物を伝えた隠元禅師。
仏教界のみならず、庶民たちの間にまで一大ムーブメントを巻き起こし、禁裏と幕府の双方から厚い帰依を受けるが、それゆえに時代の渦のなかにも巻き込まれていく。
江戸からの圧力に不満をためる公家たち。帝と、時の権力者の諍い。それの影響としてあらわれる理不尽……
我欲にまみれた人の世で、異国の僧が日本に示した献身の理由とは。
誰もが知る高僧のとらえがたき実像を、
彼を慕う寺男・快鳳の目から描く傑作歴史長編!


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