『竜馬がゆく』『燃えよ剣』を執筆中に書かれた短篇を中心に。時代小説作家としてもっとも脂がのってきたころの仕事ぶりがよくわかる一巻
1962年の5月から11月までに発表された短篇12篇が収められています。うち「法螺貝と女」の1篇が単行本未収録です。いよいよこの年の6月から、『竜馬がゆく』の連載がスタートします。いまや「国民文学」と呼ぶのになんの躊躇も覚えないこの大長篇は、司馬文学のひとつの分水嶺となります。とりわけそれまでの短篇に多く見られた伝奇的な色彩は影をひそめ、歴史の真実をさぐる傾向を強くしてゆきます。ちょうどそのころの短篇です。(NY)
1923年、大阪府生まれ。産経新聞在職中の1960年に『梟の城』で第42回直木賞を受賞。1966年の『竜馬がゆく』『国盗り物語』での第14回菊池寛賞はじめ多くの賞を受賞。主な著書に『燃えよ剣』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』『関ヶ原』『功名が辻』『菜の花の沖』など多数。1996年没。
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