白い肌を男にゆるしつつも、忍びの技と道に身を賭してゆく於蝶。上杉謙信のため命を燃やす女忍びを主人公に、プロの厳しさを描く
尾張、清洲城下のはずれで、二十の於蝶は五月晴れのもとにのびやかな肢体をなげだしていた。夏草のにおいと果肉のような体臭に木立を進む武士は惑乱した。一瞬の後に……。川中島から姉川合戦に到る年月を甲賀忍びの技と道に賭してゆく於蝶。おのが生理と心をあやつり、死闘を繰り広げる女忍びの活躍は、ここからはじまる。
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