同じ大都会の孤独でも、ニューヨークは東京とこんなに違う。個性的すぎる人々に、笑い、泣いた後、無性にニューヨークに行きたくなる本
【シリーズ読者の声】
「人に疲れているのに、人と話したくなる不思議な本!」
「心のしこりが溶け、気がついたら涙がぽろぽろこぼれていた」
「英語きらい。NY興味なし。その私が全シリーズ読破した」
「いつもこの本に戻ってきたくなる。心が落ち着く、まさに魔法の本!」
「アメリカには一度も行ったことがないし、正直、あんまり好きな国でもない。そんな私がひょんなことから、この本を手に取ることになりました。ところが、途中からぐいぐい引き込まれ、気づいたときには、自分でも不思議なほど切なく胸苦しい、懐かしい感情に包まれていました。エッセイですが、短篇小説のような余韻が残るお勧めの一冊です」
【書評「売れてる本」朝日新聞】
帰宅した著者の夫が、うれしそうに話す。バス停で疲れた様子の女性と言葉を交わしたら、後で彼女が声をかけてきた。「You made my day.」(おかげで、いい日になったわ。) 人とのささやかな触れ合いを、ニューヨークを舞台に描く本書。エッセイではあるが、極上の掌編のようないい話がつまっている。
NYに長年暮らした著者が、小粋な英語表現を紹介しながらつづった。単行本は他の版元から刊行されていたが、「読んでみて、自分でも驚くほど、忘れていた甘酸っぱい感情がパーッとわき上がってきました。それでぜひ文庫化したいと、お願いに行きました」と文庫担当編集者の池延朋子さん。
大きな仕掛けをしたわけではない。本書を気に入った書店員が独自にPOP(ポップ) を立て、目立つ棚に並べてきた結果、コンスタントに売れてきた。部数が伸びるのを見て「心のどこかに寂しい思いを抱えている人は意外と多いのでは、と著者と話していたんです」と池延さん。読者は20~50代の女性がメーンだが、男性も多い。若い人のブログには「この本を読んで、自分も昨日、知らない人に声をかけてみました」といった報告も。
外国生活を記した本は、海外を礼賛し日本を批判する内容になることもあるが、著者はあくまでも公正。腹立たしい体験も率直に語り、恵まれない人々に偽善的な目を向けることもない。「泣けた」という声も多いが、決して安易に涙腺を刺激するわけではない。それでも人の心をほぐす力を持つということは、著者の中にある優しさやフェアな思いが、さりげなく全編に溶け込んでいるからだろう。(瀧井朝世 ライター)
【書評「ポケットに1冊」読売新聞】
ニューヨークに行ったことはないが、このエッセー集を読み、あの大都会の風に身をさらしたくなった。本に出てくる小粋な英語を知り、言葉の魔法を感じた。
メトロポリタン・オペラハウスの立見席で、最前列に並ぶ背の高い若い男性が、3列目の中年の女性に場所を替わってあげるのを著者は目撃した。女の人がお礼を言うと、彼は答える。My pleasure. (それは僕の喜びです)。どうです、すてきでしょ。
1985年からニューヨークに住み始め、日本と行き来しながらノンフィクションを書く著者が夫から聞いた話も、都会の孤独な風で乾いた人の心を温かくする。いつまでたっても来ないバスを待つ間、夫と身の上話を交わした黒人女性は、別れ際にこう語りかける。
You made my day. (おかげで、いい日になりました)
ニューヨークにはなんでもある。深い孤独、かなしみもあるが、心が奇跡のように触れ合う瞬間もある。一期一会を大切にする岡田さんが見つけた光景と言葉は、ささやかだけど、いや、ささやかであるがゆえに心にしみる。ちいさい春、みーつけた。(飼)
【書評「いい本に出会う」がんサポート】
カミさんが読んでいた本書を、わきから盗み読みした。一話を読むなり、筆者の描くNYの魅力にからめとられていた。そしてついには、自分でも一冊買い求めた…(中略)…筆者の描写は、ひとにも風景にもやさしい。筆者が自己主張をしないがゆえに、やさしさが際立って香り立つのだ。
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