単行本

私たちは今でも進化しているのか?

1,980 (税込)
発売日2015年01月26日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) ワタシタチハイマデモシンカシテイルノカ
ページ数 328ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2015年01月25日
ISBN 978-4-16-390193-0
Cコード 0098

我々のDNAは石器時代の祖先と同じではない

ハワイ諸島の雄コオロギは寄生バエの攻撃から逃れるために、突然変異により羽音を出す器官を消失し、わずか5年で鳴かないように進化した。他にもガラパゴス・フィンチやグッピー、ヒキガエル、キスイガメなど、動物界では急速な進化を遂げた例が多数見つかっている。進化には、何百万年という途方もない時間がかかるという考えは誤りだ。

急激な進化は人間の間でも起きている。牛乳を飲めるようになったのも、マラリアへの抵抗力がついたのも、チベット人が高地に順応できるようになったのも、青い瞳の人間が現れたのも、たった数千年の間に起きた急激な進化の結果なのだ。

だから、「人類は歴史の大半を狩猟採集で生きてきた。農耕定住生活を初めてから、疫病も圧政も過重労働も始まった。病んだ現代人は原始人にならって、米や麦などの炭水化物を摂取することは止め、肉食中心の生活に戻るべきだ」とする石器時代への憧れ(パレオファンタジー)は幻想だ。炭水化物は人類を滅ぼさない。なぜなら、現代人のDNAは農耕文明開始後の1万年の間にも進化しているからだ。

食事、セックス、健康、家族、病気──。人間活動のすべてを司る進化の仕組みについて、「性淘汰におけるハミルトン─ズックのパラサイト仮説」で有名な進化生物学の第一人者が説き明かす。進化における我々の常識を覆す、刺激に満ちた一冊。



私たちは今でも進化しているのか?
目次

序文
進化には途方もない時間がかかるという考えは誤りだ。乳製品の摂取も、高地への順応も、数千年の間に人類に起きた進化の結果なのだ。

第1章 マンションに住む原始人
人間は歴史の大半を狩猟採集で生きてきた。病んだ現代人は今こそ原始人を見習うべきだ──石器時代への憧れは正しいのだろうか?

第2章 農業は呪いか、祝福か
疫病も専制政治も過重労働も、人類が農耕定住生活を始めてから発生した。果たして農業は諸悪の根源なのか? 恩恵はないのか?

第3章 私たちの眼前で生じる進化
ハワイで鳴かない新種コオロギが現れたのは、環境の激変に適応するためだった。動物の世界では数十年単位で速い進化が起きている。

第4章 ミルクは人類にとって害毒か
哺乳類の中で離乳後もミルクを飲むのは人類だけだ。なぜ乳製品を消化できるようになったのか? それは牧畜の開始より前か後か?

第5章 原始人の食卓
肉食中心だった原始人に習って、我々は米や麦など炭水化物の摂取を止めるべきだ──「石器時代ダイエット」は本当に正しいのか?

第6章 石器時代式エクササイズ
我々の体が石器時代に適しているのなら、どんな運動をすべきなのか? マラソンか短距離走か、「積み重ねた石を運ぶ」ことなのか?

第7章 石器時代の愛とセックス
人類に最も適した男女関係は一夫一妻か、一夫多妻か、フリーセックスか? 霊長類や狩猟採集民の性行動を例に、愛の形の歴史を探る。

第8章 家族はいつできたのか
人間の赤ん坊は他の動物に較べて成長が遅く、手がかかる。幼児の世話をしてきたのは誰なのか。人類の進化を家族の視点から考える。

第9章 病気と健康の進化論
遺伝子によって、病気になる運命かどうかは決まっているのか。AIDS、結核、癌。人類と病気の関わりを病原体の進化から読み解く。

第10章 私たちは今でも進化しているのか
チベット人が高地に住めるようになったのも、耳あかに二つのタイプが存在することも、すべて人類が「進化している」ことの証なのだ。

訳者あとがき
解説 炭水化物は人類を滅ぼさない 垂水雄二

目次

序章 速い進化と遅い進化

第一章 マンションに住む原始人

第二章 農業は呪いか、祝福か

第三章 私たちの眼前で生じる進化

第四章 ミルクは人類にとって害毒か

第五章 原始人の食卓

第六章 石器時代式エクササイズ

第七章 石器時代の愛とセックス

第八章 家族はいつできたのか

第九章 病気と健康の進化論

第一〇章 私たちは今でも進化しているのか


解説 炭水化物は人類を滅ぼさない 垂水雄二


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担当編集者より

進化には何百万年という途方もない時間がかかるという考えは誤りだ。動物界では急速な進化を遂げた例が多数見つかっている。たとえばハワイのコオロギは寄生バエの攻撃から逃れるために、五年で鳴かないように進化した。急激な進化は人間の間でも起きている。牛乳を飲めるようになったのも、チベット人が高地に順応できるようになったのも、青い瞳の人間が現れたのも、たった数千年の間に起きた進化の結果なのだ。進化における我々の常識を覆す、刺激に満ちた一冊。(SH)

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