書名(カナ) | ゴウセイセイブツガクノショウゲキ |
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ページ数 | 240ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2018年04月15日 |
ISBN | 978-4-16-390824-3 |
Cコード | 0095 |
二〇〇〇年代初頭、マサチューセッツ工科大学に集まった
科学者たちは、生物学を工学化することを思いつく。
コンピュータ上でDNAを設計し、その生物を実際につくってみるのだ。
「合成生物学」と呼ばれるようになるその学問は
ビル・ゲイツをして「もっともホット」な分野と呼ばれるようになる。
企業が血眼になり、軍の研究機関が莫大な予算を投じる。
そうした中、孤高の天才科学者が二〇年かけて
ついに人工生命体を作ることに成功する。
ヒトまでも人工的につくる時代が来るのだろうか?
『捏造の科学者-』で
新たな科学ノンフィクションの地平を開いた
著者が放つ大宅賞受賞後第一作!
プロローグ わたしを離さないで
第一章生物を「工学化」する
マサチャーセッツ工科大学で学ぶトム・ナイトは、コンピュータの性能は一八カ月後に倍になっていくというムーアの法則が物理的限界に来ていることに気がついた。ナノサイズの半導体をつくるもっとも洗練した方法は生化学によって得られるのでは?
第二章人工生命体プロジェクトはこうして始まった
MITの講座による協業の流れとまったく違う流れは、たった一人の科学者によってつくられた。クレイグ・ベンター。NIHという最高峰の研究所を辞めたベンターは、ヒトゲノムを読み、人工生命体「ミニマル・セル」を創り出すプロジェクトに着手する。
第三章究極の遺伝子編集技術、そして遺伝子ドライブ
一文字からの修正も可能な遺伝子編集技術「CRISPR・Cas9」。二〇一二年に開発されたこの技術をもちいて、ある遺伝子を集団内で一気に広めることのできる技術が開発された。マラリア蚊の撲滅、生物多様性の維持などへの使用が考えられるが。
第四章ある生物兵器開発者の回想
旧ソ連では合成生物学を使った生物兵器の研究が実際に行なわれていた。私は、機密研究に携わった一人の科学者のインタビューに成功する。ペスト菌と脳脊髄炎をひきおこすウイルスを掛け合わせた新しい病原体の研究など、セルゲイ・ポポフは証言する。
第五章国防総省の研究機関は、なぜ合成生物学に投資するのか?
ベトナム戦争での対ゲリラ戦の兵器を次々と開発した実績のある国防総省の研究所DARPA。そのDARPAは合成生物学研究の最大のパトロンと言ってもいいかもしれない。二〇一四年だけで、一億一千万ドルもの予算をその研究に拠出している。
第六章 その研究機関、DARPAに足を踏み入れる
厳重なセキュリティに守られたその研究機関の中で、私は所長とプロジェクトマネージャーに会った。「軍部の意向は反映するのか?」「機密研究を行なっているのか?」これらの質問に対して彼、彼女らは、まず「われわれは世界のために研究をしている」と。
第七章 科学者はなぜ軍部の金を使うのか?
「DARPAからのお金を使えば、それだけミサイルの開発に振り向けられる予算が減るだろう?」。遺伝子ドライブの方法を開発したケビン・エスベルトはDARPAのプログラムに応募した理由をこう語った。が、拒否する科学者たちもいる。
第八章 人造人間は電気羊の夢をみるか?
ヒトゲノム合成計画が発表された。しかし、人工でつくられたゲノムを受精卵に移して、代理母に出産させれば、親のいない「人間」の誕生になる。問題はないのか? 私は以前取材した人工授精で誕生したことを告げられた人々の苦悩が頭をよぎった。
第九章 そして人工生命体は誕生した
ヒトゲノムを公的チームよりも早く読み切った孤高の科学者クレイグ・ベンターは「ヒトゲノム合成計画」を嗤う。「彼らは細胞ひとつすらくれないではないか」。そう、ベンターだけが、人工の生命体「ミニマル・セル」の作成に二〇年越しで成功したのだ。
エピローグ マダムはなぜ泣いたのか?
あとがき
主要参考文献 証言者
プロローグ わたしを離さないで
第一章生物を「工学化」する
マサチャーセッツ工科大学で学ぶトム・ナイトは、コンピュータの性能は一八カ月後に倍になっていくというムーアの法則が物理的限界に来ていることに気がついた。ナノサイズの半導体をつくるもっとも洗練した方法は生化学によって得られるのでは?
第二章人工生命体プロジェクトはこうして始まった
MITの講座による協業の流れとまったく違う流れは、たった一人の科学者によってつくられた。クレイグ・ベンター。NIHという最高峰の研究所を辞めたベンターは、ヒトゲノムを読み、人工生命体「ミニマル・セル」を創り出すプロジェクトに着手する。
第三章究極の遺伝子編集技術、そして遺伝子ドライブ
一文字からの修正も可能な遺伝子編集技術「CRISPR・Cas9」。二〇一二年に開発されたこの技術をもちいて、ある遺伝子を集団内で一気に広めることのできる技術が開発された。マラリア蚊の撲滅、生物多様性の維持などへの使用が考えられるが。
第四章ある生物兵器開発者の回想
旧ソ連では合成生物学を使った生物兵器の研究が実際に行なわれていた。私は、機密研究に携わった一人の科学者のインタビューに成功する。ペスト菌と脳脊髄炎をひきおこすウイルスを掛け合わせた新しい病原体の研究など、セルゲイ・ポポフは証言する。
第五章国防総省の研究機関は、なぜ合成生物学に投資するのか?
ベトナム戦争での対ゲリラ戦の兵器を次々と開発した実績のある国防総省の研究所DARPA。そのDARPAは合成生物学研究の最大のパトロンと言ってもいいかもしれない。二〇一四年だけで、一億一千万ドルもの予算をその研究に拠出している。
第六章 その研究機関、DARPAに足を踏み入れる
厳重なセキュリティに守られたその研究機関の中で、私は所長とプロジェクトマネージャーに会った。「軍部の意向は反映するのか?」「機密研究を行なっているのか?」これらの質問に対して彼、彼女らは、まず「われわれは世界のために研究をしている」と。
第七章 科学者はなぜ軍部の金を使うのか?
「DARPAからのお金を使えば、それだけミサイルの開発に振り向けられる予算が減るだろう?」。遺伝子ドライブの方法を開発したケビン・エスベルトはDARPAのプログラムに応募した理由をこう語った。が、拒否する科学者たちもいる。
第八章 人造人間は電気羊の夢をみるか?
ヒトゲノム合成計画が発表された。しかし、人工でつくられたゲノムを受精卵に移して、代理母に出産させれば、親のいない「人間」の誕生になる。問題はないのか? 私は以前取材した人工授精で誕生したことを告げられた人々の苦悩が頭をよぎった。
第九章 そして人工生命体は誕生した
ヒトゲノムを公的チームよりも早く読み切った孤高の科学者クレイグ・ベンターは「ヒトゲノム合成計画」を嗤う。「彼らは細胞ひとつすらくれないではないか」。そう、ベンターだけが、人工の生命体「ミニマル・セル」の作成に二〇年越しで成功したのだ。
エピローグ マダムはなぜ泣いたのか?
あとがき
主要参考文献 証言者
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