書名(カナ) | ネツゾウノカガクシャ スタップサイボウジケン |
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ページ数 | 384ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 上製 上製カバー装 |
初版奥付日 | 2014年12月30日 |
ISBN | 978-4-16-390191-6 |
Cコード | 0095 |
◆第46回大宅壮一ノンフィクション賞受賞◆
このままの幕引きは科学ジャーナリズムの敗北だ
「須田さんの場合は絶対に来るべきです」
はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。
ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する
理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子。
発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、
疑問がひとつまたひとつ増えていく。
「科学史に残るスキャンダルになる」
STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。
その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。
誰が、何を、いつ、なぜ、どのように捏造したのか?
「科学史に残るスキャンダル」の深層
【目次】
■第一章 異例づくしの記者会見
内容がまったく書かれていない奇妙な記者会見の案内が理研から届いた。笹井氏に問い合わせをすると「須田さんの場合は『絶対に来るべき』」とのメールが。山中教授のiPS細胞を超える発見と強調する異例の会見。
■第二章 疑義浮上
発表から二週間でネット上には、論文へのさまざまな指摘がアップされた。理研幹部は楽観的だったが、私は、以前森口尚史氏の嘘を見破った科学者の一言にドキリとする。「小保方さんは相当、何でもやってしまう人ですよ」
■第三章 衝撃の撤回呼びかけ
万能性の証明のかなめである「テラトーマ画像」と「TCR再構成」。このふたつが崩れた。共著者たちは、次々と論文撤回やむなしの判断に傾き、笹井氏も同意。しかしメールの取材には小保方氏をあくまで庇う発言を。
■第四章 STAP研究の原点
植物のカルス細胞と同じように動物も体細胞から初期化できるはずと肉をバラバラにして放置するなど奇妙な実験を繰り返していたハーバードの麻酔医バカンティ氏。STAP細胞の原点は、彼が〇一年に発表した論文にあった。
■第五章 不正認定
「科学史に残るスキャンダルになる」。デスクの言葉を裏付けるように、若山研の解析結果は、他細胞の混入・すり替えの可能性を示唆するものだった。一方、調査委員会は、論文の「改ざん」と「捏造」を認定する。
■第六章 小保方氏の反撃
「STAP細胞はあります」。小保方、笹井両氏が相次いで記者会見をした。こうした中、私は理研が公開しない残存試料についての取材を進めていた。テラトーマの切片などの試料が残っていることが分かったが。
■第七章 不正確定
理研CDBの自己点検検証の報告書案を、毎日新聞は入手する。そこには小保方氏採用の際、審査を一部省略するなどの例外措置を容認していたことが書かれていた。そうした中「キメラマウス」の画像にも致命的な疑惑が。
■第八章 存在を揺るがす解析
公開されているSTAP細胞の遺伝子データを解析すると、八番染色体にトリソミーがみつかった。たかだか一週間の培養でできるSTAP細胞にトリソミーが生じることはあり得ず、それはES細胞に特徴的なものだ。
■第九章 ついに論文撤回
改革委員会はCDBの「解体」を提言。こうした中、小保方氏立ち会いのもとでの再現実験が行われようとしていた。しかし、論文が捏造ならそれは意味がないのでは? 高まる批判の中、私たちは竹市センター長に会う。
■第十章 軽視された過去の指摘
過去にサイエンス、ネイチャーなどの一流科学誌に投稿され、不採択となったSTAP論文の査読資料を独自入手。そこに「細胞生物学の歴史を愚弄している」との言葉はなく、ES細胞混入の可能性も指摘されていた。
■第十一章 笹井氏の死とCDB「解体」
八月五日、笹井氏自殺のニュースが。思えば、私のSTAP細胞取材は笹井氏の一言で始まった。それ以降、笹井氏から受け取ったメールは約四十通。最後のメールは査読資料に関する質問の回答で、自殺の約三週間前のものだ。
■第十二章 STAP細胞事件が残したもの
〇二年に米国で発覚した超伝導をめぐる捏造事件「シェーン事件」。チェック機能を果たさないシニア研究者、科学誌の陥穽、学生時代からの不正などの類似点があるが、彼我の最大の違いは不正が発覚した際の厳しさだ。
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