CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見

1,760 (税込)
発売日2017年10月04日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) クリスパー キュウキョクノイデンシヘンシュウギジュツノハッケン
ページ数 336ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2017年10月05日
ISBN 978-4-16-390738-3
Cコード 0098

ノーベル化学賞最有力。高校生でも遺伝子を編集できる時代が来た

「君の技術を説明してほしい」
ヒトラーは私にこうたずねた。その顔は豚である。
恐怖にかられて目が覚める━━。
ヒトゲノムを構成する32億文字のなかから、たった一文字の誤りを探し出し、修正するという離れ業ができる、その技術CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)。2012年にその画期的遺伝子編集技術を「サイエンス」誌に発表したジェニファー・ダウドナ博士は、またたく間に自分の開発した技術が、遺伝病の治療のみならず、マンモスを含む絶滅動物の復活プロジェクト、農作物の改良など燎原の火のように使われていく様におののく。
豚の内蔵を「ヒト化」し、臓器移植するための実験も行なわれた。
人間は自らの種の遺伝子までも「編集」し、進化を操るところまで行ってしまうのか?
ノーベル賞確実と言われる画期的技術を開発した科学者の唯一の手記を独占出版。



プロローグ まったく新しい遺伝子編集技術の誕生

細菌がウイルスに感染しないために持っている免疫システムを、遺伝子の編集に利用できる。私たちが、その技術CRISPR(クリスパー)-(-)Cas9(キャス9)を発表したのが二〇一ニ年。以来、遺伝子を数時間で編集できるこの技術が、人類史上稀にみない変化をひき起こしている。

第一部 開発
第1章 クリスパー前史

遺伝性疾患は、DNA上の配列の異常によって起こる。では、それを編集修正することができれば病気は治療できるのではないか? ある遺伝病患者の奇跡的回復はそのことを示唆していた。クリスパーが開発されるまでの、人類の遺伝子編集研究の歴史を辿る。

第2章 細菌のDNAに現れる不思議な「回文」

動物のウイルス感染の防御としてのRNA干渉を研究していた私のもとに、見知らぬ研究者からの不思議な電話がかかる。「クリスパー」。彼女は言った。それは細菌の中のDNA塩基配列に見られる不思議な「回文」のことを指していた。

第3章 免疫システムを遺伝子編集に応用する

CRISPRのⅠ型は、DNA塩基を高速で破壊する。ブレークスルーはⅡ型の方にあった。Ⅱ型のクリスパー特有の酵素Cas9 を研究するフランスの研究者から共同研究の申し出があった。それが、特定の場所で遺伝子を自在に編集できるツールの発見の鍵になる。

第4章 高校生も遺伝子を編集できる

私たちが二〇一ニ年に論文を発表してから、堰を切ったようにCRISPRの多用な利用法が発見されている。私を含む科学者は、医療ベンチャー企業をたちあげた。これまでの六〇〇分の一以下のコストで、短時間でできるこの「魔法の杖」を誰もが使い始めた。

第二部 応用
第5章 アジア象の遺伝子をマンモスの遺伝子に変える

CRISPR を利用した様々な試みが,世界中の研究室であるいは企業で始まっている。ウドンコ病の遺伝子を除去したパンコムギの作成。角の映えない牛。ハードード大はマンモスを現代に蘇らせるプロジェクトも始めた。が、倫理的境界をどこにひくべきか?

第6章 病気の治療に使う

CRISPR は7000以上ある単一性遺伝子疾患の治療に福音となる。先天性白内障、筋ジストロフィーなどではすでにマウスでの治療は成功済みだ。TALENを使った遺伝子編集では末期の小児ガンを治療した例もある。その最前線を報告する。

第7章 核兵器の轍は踏まない

豚の顔を持つヒトラーは私にこう語りかけた。「君の開発した素晴らしい技術の利用法を知りたい」。CRISPRは核兵器の轍を踏むのか? そうさせないためにも、社会を巻き込んだ議論が必要だ。私たちは「サイエンス」誌によびかけの一文を掲載する、


第8章 福音か疫災か?
私たちの「よびかけ」論文の直後に、中国の科学者による人胚にCRISPRを使った論文が発表された。米国の諜報機関はCRISPRを「第六の大量破壊兵器」と指摘する報告書を書く。人間が人間の遺伝子を改変することはどこまで許されるのか?


エピローグ 科学者よ、研究室を出て話をしよう

細菌の免疫システムというまったく関係のなさそうな研究からこの画期的な新技術が生まれたように、科学においては、基礎研究ほど大事なことはない。そして科学が行なっていることを一般の人たちと共有することが、より一層重要な時代になっている

目次

「君の技術を説明してほしい」
ヒトラーは私にこうたずねた。その顔は豚である。
恐怖にかられて目が覚める━━。
ヒトゲノムを構成する32億文字のなかから、たった一文字の誤りを探し出し、修正するという離れ業ができる、その技術CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス9)。2012年にその画期的遺伝子編集技術を「サイエンス」誌に発表したジェニファー・ダウドナ博士は、またたく間に自分の開発した技術が、遺伝病の治療のみならず、マンモスを含む絶滅動物の復活プロジェクト、農作物の改良など燎原の火のように使われていく様におののく。
豚の内蔵を「ヒト化」し、臓器移植するための実験も行なわれた。
人間は自らの種の遺伝子までも「編集」し、進化を操るところまで行ってしまうのか?
ノーベル賞確実と言われる画期的技術を開発した科学者の唯一の手記を独占出版。



プロローグ まったく新しい遺伝子編集技術の誕生

細菌がウイルスに感染しないために持っている免疫システムを、遺伝子の編集に利用できる。私たちが、その技術CRISPR(クリスパー)-(-)Cas9(キャス9)を発表したのが二〇一ニ年。以来、遺伝子を数時間で編集できるこの技術が、人類史上稀にみない変化をひき起こしている。

第一部 開発
第1章 クリスパー前史

遺伝性疾患は、DNA上の配列の異常によって起こる。では、それを編集修正することができれば病気は治療できるのではないか? ある遺伝病患者の奇跡的回復はそのことを示唆していた。クリスパーが開発されるまでの、人類の遺伝子編集研究の歴史を辿る。

第2章 細菌のDNAに現れる不思議な「回文」

動物のウイルス感染の防御としてのRNA干渉を研究していた私のもとに、見知らぬ研究者からの不思議な電話がかかる。「クリスパー」。彼女は言った。それは細菌の中のDNA塩基配列に見られる不思議な「回文」のことを指していた。

第3章 免疫システムを遺伝子編集に応用する

CRISPRのⅠ型は、DNA塩基を高速で破壊する。ブレークスルーはⅡ型の方にあった。Ⅱ型のクリスパー特有の酵素Cas9 を研究するフランスの研究者から共同研究の申し出があった。それが、特定の場所で遺伝子を自在に編集できるツールの発見の鍵になる。

第4章 高校生も遺伝子を編集できる

私たちが二〇一ニ年に論文を発表してから、堰を切ったようにCRISPRの多用な利用法が発見されている。私を含む科学者は、医療ベンチャー企業をたちあげた。これまでの六〇〇分の一以下のコストで、短時間でできるこの「魔法の杖」を誰もが使い始めた。

第二部 応用
第5章 アジア象の遺伝子をマンモスの遺伝子に変える

CRISPR を利用した様々な試みが,世界中の研究室であるいは企業で始まっている。ウドンコ病の遺伝子を除去したパンコムギの作成。角の映えない牛。ハードード大はマンモスを現代に蘇らせるプロジェクトも始めた。が、倫理的境界をどこにひくべきか?

第6章 病気の治療に使う

CRISPR は7000以上ある単一性遺伝子疾患の治療に福音となる。先天性白内障、筋ジストロフィーなどではすでにマウスでの治療は成功済みだ。TALENを使った遺伝子編集では末期の小児ガンを治療した例もある。その最前線を報告する。

第7章 核兵器の轍は踏まない

豚の顔を持つヒトラーは私にこう語りかけた。「君の開発した素晴らしい技術の利用法を知りたい」。CRISPRは核兵器の轍を踏むのか? そうさせないためにも、社会を巻き込んだ議論が必要だ。私たちは「サイエンス」誌によびかけの一文を掲載する、


第8章 福音か疫災か?
私たちの「よびかけ」論文の直後に、中国の科学者による人胚にCRISPRを使った論文が発表された。米国の諜報機関はCRISPRを「第六の大量破壊兵器」と指摘する報告書を書く。人間が人間の遺伝子を改変することはどこまで許されるのか?


エピローグ 科学者よ、研究室を出て話をしよう

細菌の免疫システムというまったく関係のなさそうな研究からこの画期的な新技術が生まれたように、科学においては、基礎研究ほど大事なことはない。そして科学が行なっていることを一般の人たちと共有することが、より一層重要な時代になっている

おすすめ記事

※外部サイトへリンクしている場合もあります

感想を送る

本書をお読みになったご意見・ご感想をお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社ウェブサイト、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただく場合がございます。

※いただいた内容へのご返信は致しかねますのでご了承ください。
※ご意見・ご感想以外は、こちらから各部門にお送りください。

メディア関係者・図書館の皆様

表紙画像のダウンロード

ご希望のデータがダウンロードできない場合や、著者インタビューのご依頼、その他の本の紹介に関するお問合せは、直接プロモーション部へご連絡ください。

雑誌・書籍の内容に関するご意見、書籍・記事・写真等の転載、朗読、二次利用などに関するお問合せ、その他については「文藝春秋へのお問合せ」をご覧ください。

書店在庫
ネット書店で購入

CRISPR(クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見

1,760 (税込)
発売日2017年10月04日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) クリスパー キュウキョクノイデンシヘンシュウギジュツノハッケン
ページ数 336ページ
判型・造本・装丁 四六判 上製 上製カバー装
初版奥付日 2017年10月05日
ISBN 978-4-16-390738-3
Cコード 0098
試し読み
書店在庫
ネット書店で購入

Rankingランキング

全て見る

Eventイベント

最新イベント

一覧を見る
長嶋有×宮内悠介トークライブ「僕たちの原点を探して」開催
長嶋有×宮内悠介トークライブ「僕たちの原点を探して」開催
<中国のスティーヴン・キング>蔡駿さん来日記念トークショー&サイン会開催!
<中国のスティーヴン・キング>蔡駿さん来日記念トークショー&サイン会開催!
有栖川有栖さんデビュー35周年! 『有栖川有栖に捧げる七つの謎』発売記念イベントを大阪と東京で開催
有栖川有栖さんデビュー35周年! 『有栖川有栖に捧げる七つの謎』発売記念イベントを大阪と東京で開催
BunshunTechZERO 電子書籍営業募集 米国を代表する作家、スティーヴン・キングの特設サイト 吉永南央「紅雲町珈琲屋こよみシリーズ」特設サイト 阿部智里「八咫烏シリーズ」特設サイト 2024 文春文庫 秋100ベストセレクション 文藝春秋 コミック編集者募集