担当編集者より

「父親が、なぜか祈るような思いで、あるいは希望に満ちあふれながら、息子がたった一人で駆けてゆく姿を見つめている」――そのイメージが核となって、ぱっと物語の枠組みが見えるや、たまらなく胸が熱くなった、と冲方さんは語ります。
この手応えを形にしていただいた『マイ・リトル・ヒーロー』は、前向きで、読みながら共に応援したくなる物語になりました。
　作品の舞台はオンラインゲーム。「eスポーツ」と呼ばれ、いずれはオリンピックの種目になるといわれるほど急成長しているこの世界に、父と子が飛び込みます。冲方さんだからこそ描ける圧巻のゲームシーンや、垣間見られるトッププレイヤーの哲学が読みどころなのは勿論のこと、冲方作品史上、最もダメダメな（⁉）主人公・暢光が息子のために結成した寄せ集めチームで世界大会に挑んでいく姿は爽快です。
　子どもの成長を眩く見守る親の喜びと切なさ。そして、大人でも自分の新たな面を発見し、成長することができるということ。ヒーローたちの活躍をぜひ一緒に見守ってください。