書名(カナ) | ニジュッセイキロン |
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ページ数 | 232ページ |
判型・造本・装丁 | 新書判 |
初版奥付日 | 2013年02月20日 |
ISBN | 978-4-16-660899-7 |
Cコード | 0295 |
単なる算術的な意味ではなく、実質的な意味での「20世紀」は、第1次大戦に始まり、2008年9月のリーマン・ショックで終わりを迎えたと言える。米国発の世界不況はとどまるところを知らない。各国は不況対策のため財政赤字を拡大させ、ユーロ体制は最大の危機を迎えている。アメリカにモノを売ることでバブル崩壊後を辛うじて凌いできた日本も、いまや茫然自失の態だ。今後どうなっていくのか予測できないこの事態に、「21世紀」を生きるわれわれは対峙し、活路を見いださなければならない。だが「20世紀は終わった」と自覚せずに「21世紀」の展望は開けてこない。「20世紀」とは第一次大戦に始まる「総力戦」の時代だった。この戦争に勝利するには、物的資源から人的資源まで国力のすべてをかける必要があった。イギリスではロイド・ジョージが、兵器、物資の増産のため福祉政策を拡充し、総力戦に備えた国家体制を整えることで敗北の危機にあった国を勝利に導いた。戦争に国民を総動員するには、労働者階級の国家への忠誠心が不可欠だ。福祉政策はそのためのものだった。この傾向は第一次世界大戦後も続き、各国とも社会保障制度を整え、住宅、公立学校、鉄道、道路、下水道を整備した。日本もこれに倣い、1921年10月、ドイツのバーデンバーデンに集まった小畑敏四郎、岡村寧次、永田鉄山ら若手将校は、第1世界大戦から「欧米諸国が総力戦に備えた国家を構築しているのに対し、日本は大きく立ち後れている」という教訓を引き出し、陸軍の刷新と総動員体制の構築を誓う。第2次世界大戦は総力戦のピークとなった。総力戦体制はその後も形を変えて続いた。戦後、繁栄を謳歌したわれわれのライフスタイルがまさにそれだったのである。しかし、「20世紀」も終焉を迎えつつある。「21世紀」を生きる指針を見出すべく、世界が総力戦を目指して突き進んでいった「20世紀」という時代を、キーとなる人物と出来事から検証する。
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