台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史 家永真幸

1,210 (税込)
発売日2023年11月17日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) タイワンノアイデンティティ チュウゴクトノソウコクノセンゴシ
ページ数 272ページ
判型・造本・装丁 新書判
初版奥付日 2023年11月20日
ISBN 978-4-16-661434-9
Cコード 0295
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台湾のアイデンティティ 「中国」との相克の戦後史 家永真幸

1,210 (税込)
発売日2023年11月17日
ジャンルノンフィクション
商品情報
書名(カナ) タイワンノアイデンティティ チュウゴクトノソウコクノセンゴシ
ページ数 272ページ
判型・造本・装丁 新書判
初版奥付日 2023年11月20日
ISBN 978-4-16-661434-9
Cコード 0295

台湾はいかにして台湾になったのか? 

台湾海峡をめぐる緊張がにわかに高まっているが、台湾と中国の関係は、「敵か味方か」といった単純な構図で理解できるものではない。台湾から見た中国との「距離感」は歴史の中で時代によって大きく揺れてきた。
他方で、コロナ禍におけるデジタル担当のオードリー・タンの活躍や蔡英文大統領下での同性婚の合法化など、国際的にも存在感を発揮する台湾。こうした台湾の独自性、「台湾人」としてのアイデンティティはいかにして育まれたのか? そして複雑に錯綜した国内外の対立関係をいかに乗り越えようとしているのか?

第二次世界大戦後の国民党政権による一党支配体制、そのもとで繰り広げられた反体制運動と政府当局による弾圧――民主化以前の台湾をめぐる政治的争点を紐解きながら、冷戦期の国際情勢の変化を読み込みながら、「反中/親中」あるいは「反日/親日」という二項対立では理解できない台湾社会の複雑さに迫る。そして、台湾の成り立ちに欠かせない日本、アメリカ、中国との関係をも、「人」を起点にふんだんに描き出す。

数々の歴史的なねじれ目をほどきながら理解の深まる、スリリングな台湾現代史。

ーーーーーーーー
以下、目次

第1章 多様性を尊重する台湾
第2章 一党支配下の政治的抑圧
第3章 人権問題の争点化
第4章 大陸中国との交流拡大と民主化
第5章 アイデンティティをめぐる摩擦


目次

はじめに

第1章 多様性を尊重する台湾
台湾の概況/台湾の人口構成/先史時代と原住民/ヨーロッパ世界との接触/漢人文化の普及/近代的な国際関係への編入/日本統治の開始/台湾人アイデンティティの形成/皇民化運動/中国大陸との政治的分断の継続/政治変動/中華民国憲法改正と政権交代/台湾化する中華民国と文化的多元性の尊重/アイデンティティの模索

第2章 一党支配下の政治的抑圧
中華民国による台湾統治の始まり/二二八事件/省籍矛盾を強調することの問題点/白色テロ/国際冷戦下の中国内戦と日華関係/陳智雄事件/自由中国事件/台湾独立運動の弾圧/台湾人民自救運動宣言/民主台湾聯盟事件/陳映真の入獄/映画『返校』をどう見るか/白色テロの記憶は曖昧か/原作ゲームの迫力/白色テロ時代とどう向き合うか

第3章 人権問題の争点化
在日台湾人社会と台湾独立運動/台湾出身者の不安定な法的地位/台湾出身者の強制送還/陳玉璽・柳文卿事件/アムネスティ・インターナショナル日本支部の設立/親人民共和国派と台湾独立派の溝と接点/劉彩品問題/中華民国との「絶縁」/林景明問題/「左派」への幻滅/林景明を支援したのは誰だったのか/劉彩品問題と林景明問題の支援者の接点/日本における台湾研究の独立

第4章 大陸中国との交流拡大と民主化
台湾独立運動拠点が北米に/「党外」運動の興隆と郷土文学論争/米中国樹立とアメリカの台湾関係法/美麗島事件/国民党内の人権擁護/人民共和国の台湾「解放」路線/平和統一政策への転換/八〇年代台湾の政治変動/李登輝による憲政改革/中国の民主化運動と台湾問題/ジャイアント・パンダ贈呈構想/天安門事件の影響/劉彩品と天安門事件/天安門事件後の対台湾政策/総統選挙と第三次台湾海峡危機/民進党政権の誕生と藍緑対立構造の形成/統一左派リーダーとしての陳映真

第5章 アイデンティティをめぐる摩擦
劉暁波の馬英九評価/馬英九政権の対中融和政策/パンダ受け入れ/台湾人アイデンティティへの配慮/蔡英文政権と歴史をめぐる摩擦/台湾で慕われる日本人技師/日台間の「感動」のズレ/李登輝と「八田物語」/馬英九の八田評価/八田與一銅像破壊事件/蔣介石像の公共空間からの排除/柯文哲と台湾黒熊/香港情勢と蔡英文の再選/新型コロナウイルス感染症対策の優等生/安倍晋三銅像の建立

おわりに

担当編集者より

著者は『国宝の外交史』『中国パンダ外交史』など、外交手段としての「宝物」や「パンダ」に着目したユニークな中国政治外交史を問うてきた、気鋭の研究者・家永真幸さん。

台湾総統選を2024年1月に控え、台湾有事のリスクなど大文字の政治や国際情勢が取りざたされる一方で、日本人にとっては旅先としても人気で、文化交流の観点からも親しみを感じる台湾。でも、日本と台湾の歴史、さらには台湾と中国の歴史は断片的にしか知られてないのではないでしょうか。

台湾はなぜ未だに国家として認められていないのか?
中国はなぜ台湾を統一しようとしているのか? 
国民党と民進党が交互に政権を取るのはなぜか?
蔡英文やオードリー・タンに象徴されるリベラルな民主主義が実現したのはなぜか?
安倍晋三元首相はなぜ台湾人から人気なのか?

このような疑問の数々に応えてくれる、
一気読み必至のスリリングな台湾史です。

著者

家永 真幸

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