作品
函館戦争に身を投じ、壮絶な戦いの場にあって敵味方の区別なく負傷者の治療を行った医師・高松凌雲。その生涯を描く幕末歴史長編
刑務所に三十六回も服役した男、投身自殺した遺体をひきあげる漁師、がんで死んだ母親…人間の生と死のドラマを鮮かに描いた七篇
松竹の大スターから、巨匠溝口健二により世界の大女優となった田中絹代。その華麗な芸歴と複雑な私生活のすべてをここに描き出す
元脱走兵を取材する「私」と、苦悩の歳月を生きてきた男との、魂の交流を描く表題作など、透徹した視線で築かれた八つの短編小説
戦死した兄の思い出を辿るうち、胸に呼び起こされた不幸な事故の記憶。あれは本当にあったことなのか……。滋味深い十二の短篇集
『陰の季節』(第五回松本清張賞受賞)で、鮮烈なデビューを飾った著者の第二作。警察手帳紛失事件に隠された男達の矜持を描く
社会の腐敗に対しもはや人は怒るよりも諦めかけていないか。戦後、日本人が目指した志を問う、藤沢周平、吉村昭等十一人との対談集
江戸末期、難破した幕府の御用船からこっそり米を奪った漁師たち。以来、村を襲う悲劇と、追いつめられた人間の心理を描く歴史小説
大政奉還をパリで知った幕府医官凌雲は、幕府再興のため、帰国後榎本艦隊と一路函館へ向かった。近代日本の黎明を描く歴史長篇
街ですれ違った人や料理屋でふと気づいたこと、身のまわりの出来事を、温かく、時には厳しく見つめて描いた名随筆七十九篇を収載
綿密な取材によって戦史小説、歴史小説に新境地を拓いてきた著者の“史実”への姿勢を、失敗談を交えて綴った決定的取材ノート
京都三條大橋の銅像で知られる高山彦九郎は、単なる狂信的尊皇論者ではなかった。先見の明ゆえに時代に翻弄される孤高の人の実像
処刑を目前にした死刑囚と面接委員との心の交流を描いた表題作はじめ、生と死のドラマ十篇。「鳳仙花」「苺」「島の春」「毬藻」「凧」「高架線」「少年の夏」「赤い月」「破魔矢」収録。(曾根博義)
戦後数十年経ってから気づく家族や友人の秘密、街で出会った人とのはっとするような瞬間を捉えた、小説巧者の著者が綴る、名短篇集
「オール讀物」名物コラムを平成八年分まで収めた第二弾。昭和・平成と時代の移ろう中、エッセイの名手たちは何を見ていたか。山口瞳、阿川弘之、吉村昭、水上勉、遠藤周作ら競演。
江戸末期、難破した幕府の御用船に残された米を、村ぐるみでこっそり奪ったことから始まる悲劇的な展開を、著者独特の筆致で描く
昭和二年生れの吉村氏が、戦前から終戦直後まで大都会の下町で、折にふれて見聞きし、体験したさまざまな懐かしい事柄を味わい深い文章で綴った好読物。印象的なさし絵を多数収録。
街ですれ違った人や料理屋でふと気づいたこと。身近で日常的なことを、暖かく、時には厳しく見つめて巧みにつづった好エッセイ集
突然蒸発した夫を追った妻が探しあてたものは、旧友の裏切りと夫の死だった。様々な男女の愛と別れ、再会と死をつづる傑作短篇集
〈納棺夫〉とは、永らく冠婚葬祭会社で死者を棺に納める仕事に従事した著者の造語である。「生」と「死」を静かに語る、読み継がれるべき刮目の書。(序文・吉村昭 解説・高史明)
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