別冊文藝春秋

男ふたりで立ち上げた探偵事務所、
開業するのは週末だけ!?

文: 沢村 浩輔

沢村浩輔「週末探偵 最初の事件」

 デビュー以来、大学生や贋者の海賊が、成り行きで探偵役を務める、というミステリ小説を書いてきました。

 小説の舞台は日本だったり外国だったり、現代だったり過去だったりと、色々ですが、一度もちゃんとした探偵が出てこないことが、我ながら不思議でした。

 書いた本人が不思議がるのも変ですが、子供の頃から名探偵が好きで、昔は海外ミステリを手にしたとき、登場人物一覧の中に探偵の名前があるか否かで、読む読まないを決めていました。

 そういう人間が、まがりなりにもミステリ作家になったのに、どうして作中に探偵が登場しないのかと、たぶん誰も気にしないでしょうが、本人だけは気になっていました。

 いや、理由はもう分かっています。私がこれまでに考えたプロットやストーリーには、探偵が必要なかったからです。登場人物の誰かが探偵役になれば済んでしまう話だったからです。

 いくら好きだからといって、必要のない人物を出演させることはできません。

 そこで今回は、「まず探偵ありき」で話を考えました。

 なるほど、こうすれば探偵が出せるじゃないか、と目から鱗がぼろぼろ落ちる気分です。

 ただし出てくるのは、格好いい名探偵ではありません。そもそも実績がないのです。だからこういうタイトルになりました。

「別冊文藝春秋 電子版3号」より連載開始

別冊文藝春秋 電子版3号(通巻319号/2015年9月号)

定価:※各書店サイトで確認してください
発売日:2015年08月17日

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