最新のベストセラーから古典まで、選りすぐりの名作を竹下景子さんと段田安則さんの声でお送りする「新日曜名作座」。

第163回直木賞を受賞、映像化でも話題になった馳星周さんの感動の小説『少年と犬』が、ラジオドラマ「新日曜名作座」(NHKラジオ第1、毎週日曜夜7時25分~7時55分)で、2026年3月1日から全6回放送されることになりました。

「新日曜名画座」に出演する竹下景子さんと段田安則さん ©NHK

今回の演出を手掛けるNHKの木村明広さんは、本作について次のように語ります。

「毎回、死や喪失が描かれる連作小説ですが、その悲しみとは表裏一体に、人間が持つ優しさや善良な心が、一瞬、きらめきます。タイトルにある『犬』が、その人間の『思い残し』を受け取り、そして最後『少年』に託すような物語は、この殺伐とした現代に希望を灯そうとする祈りだと思いました。未来を信じることが出来ました」

また出演者の竹下景子さんは、こんなふうに感想を話してくれました。

「東日本大震災に端を発して、『多聞(たもん)』の気の遠くなるような旅が始まる――犬の一途な気持ちと、行きずりに出会う人々の孤独や喪失を束の間癒してくれるエピソードの、一つ一つが相まって胸が熱くなりました」

竹下さんの役どころは、第1話「男と犬」の主人公の姉(30代)と母(50代)にはじまり、第3話「夫婦と犬」の妻(農産物生産者・ネットショップ経営者 30代半ば)、第4話「娼婦と犬」の娼婦(20代)、第6話「少年と犬」の妻(30代)とその息子(8歳)、さらに近所の牧場主(80代)・獣医(50代)など、年齢も役柄も非常に幅広い上、第1・2・5・6話ではナレーションも担当されます。

ご自身によればおすすめポイントは、「犬がたどった5年にわたる旅の長さ、その時間とともに、人との交流が生まれる土地とそこで暮らす人々の雰囲気がより立体的に、そしてパーソナルに伝わると思います」とのことだが、現代の名作が名優によって、新たに心を震わす化学反応を生み出すにちがいありません。

演出の木村さんも「言葉と効果音と音楽という三つの音で、皆さんの脳内のスクリーンに画を映すのがラジオドラマです。新日曜名作座『少年と犬』の結末、皆さんの心の中に映し出された少年と犬が、私の中にある少年と犬と同じ像を結んでいれば、うれしいです」と、本作にますます期待は高まります。

馳星周『少年と犬』

【番組概要】

NHKラジオ第1 新日曜名作座
『少年と犬』(全6話)
孤独な旅を続ける犬が見た 人間という存在が放つ光と影
2026年3月1日~4月5日 毎週日曜 午後7時25分~午後7時55分
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)

出演者:竹下景子 段田安則
原作:馳星周
脚色:飯野陽子
音楽:森悠也
制作統括:桑野智宏
技術:内藤志帆
音響効果:今井裕
演出:木村明広

【新日曜名作座『少年と犬』あらすじ】

見失った繋がりを求めて、長い旅をする犬「多聞」。
2011年の東日本大震災から2016年4月の熊本地震までの5年の間、ひたすら南西に向かおうとする犬と出会い飼い主になったのは、それぞれの人生で何かを抱えた人たち。
家族のために犯罪に手を染めた男、外国人窃盗団のリーダー、壊れかけた夫婦、男に貢ぐ女、死期を悟った老猟師、そして震災で心を閉ざした少年。
犬の視線を通して描かれるのは、人間の愚かさや哀しさ、優しさや誇り。そしてその先にあるのは、愛と希望である。
様々な人生に関わる「多聞」という犬を中心にした、出会いと別れの物語。