作品
質素な暮らしぶりの仙吉と羽振りのいい修造。ふたりの友情は親密で、まるで一対の狛犬、阿吽のようだった。太平洋戦争前夜の情景
なにげない日常風景からのぞく、ぞっとするような男女の真実——直木賞受賞作をふくむ傑作短篇集から、〈新装版〉全集刊行開始!
西鶴の現代版ともいうべき人妻の恋の道行きを描いた表題作をはじめ、ハイミスのOLの微妙な心理を扱った「胡桃の部屋」。他、「幸福」「下駄」「春が来た」四篇収録。(浅生憲章)
明治生まれの父を中心に繰り広げられる古き良き昭和の中流家庭の姿を、巧まざるユーモアを交えて鮮やかに描く。全24篇を収録
神社の鳥居の狛犬のように親密な男の友情と、親友の妻への密かな思慕を、太平洋戦争をひかえた世相を背景にあざやかに描いた長篇
神社に並んだ一対のコマイヌのように親密な男の友情と、親友の妻への密かな思慕が織りなす情景を、太平洋戦争をひかえた世相を背景に描き、著者が最も愛着を抱いた唯一の長篇。
怒鳴る父、殴る父、そして陰ではやさしい心遣いをする父、誰でも思い当たる父親のいる情景を爽やかなユーモアを交えて描いて絶賛された著者の第一エッセイ集。(沢木耕太郎)
傲慢な舅と夫、生さぬ仲の二人の息子に仕えて十三年、家族の心に先妻が入りこんでいることを知った後妻は……。向田ドラマの傑作
桃太郎のように元気で身体も大きな娘の結婚相手は大男の日本男児と夢見ている頑固親父。だが、娘の恋人は……。抱腹の向田ドラマ
父親の愛人問題にやきもきする四姉妹。だが、彼女たちもそれぞれ複雑な問題を抱えていた。赤裸々に描かれた家族のエゴと愛憎
小心、生真面目な中年サラリーマンの娘が妻子ある男と同棲。怒った父親は相手の男と対決するが、いつの間にか通いあうものが……
高校時代の万引きでエリート家庭から落ちこぼれ、靴修理店に入りびたっている菊男は、ふとしたことから謹厳な祖父や父の裏面を知る。家族の本質を追求した感動の長篇。(藤田弓子)
おでん屋を営む砂子には思いをよせる男がいるが、突然、男の妻が店にあらわれる。婚期を逸した女のつかの間の幸福を描く表題作の他、「母の贈物」「毛糸の指輪」を収録。(山根美奈)
森繁久彌・向田邦子の名コンビによるラジオ・エッセイの文庫化第二弾。傑作『父の詫び状』の父親とあい通じる重役の人物像からは懐しい時代のぬくもりが伝わってくる。(鴨下信一)
偶然知り合った男は病弱な画家。平凡なサラリーマンの夫とは何から何まで違っていた。微妙に揺れる女心を描いた表題作のほか「びっくり箱」「母上様・赤澤良雄」を収録。(向田和子)
美しい姉といつも脇役の妹。だが結婚後、立場は逆転してしまう。姉妹の心の葛藤と家族愛をテーマにした表題作のほか向田ドラマの傑作「花嫁」「当節結婚の条件」を収録。(鴨下信一)
仕事運に恵まれず一人息子にも先立たれてしまったせい子と宙太郎夫婦は葬儀屋で働くことになった。二人にふりかかる様々な事件と下町の人情をほのぼのと描く向田ドラマの小説化。
(上を参照)
作・向田邦子、朗読・森繁久彌の名コンビによる連続ラジオエッセイ。向田文学のデビュー作であり、のちに名作とよばれた小説・エッセイの種がちりばめられたファン待望の著。
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