遺された手帳には、私の知らない父がいた――。
藤沢周平・没後20年の年(2017年)に、遺された手帳・大学ノートを愛娘が読み解き、知られざる父の姿を綴った本書は、単行本刊行時、大きな話題となった。
展子誕生後まもなく、妻・悦子が病死。新たな人生を歩もうとした矢先の、藤沢の悲痛な感懐が胸をうつ。その当時から小説の情熱やみがたく、執筆、投稿生活を送っていたのだが、「作家・藤沢周平」は夫婦の夢でもあったのだ。
妻を亡くした絶望のなかから、藤沢周平はいかに創作へ向かおうとしたのか。
幼い娘を育てながら会社員生活を送り、再婚、オール讀物新人賞受賞、いよいよ小説家への一筋の光が見えてくる。直木賞受賞までの煩悶、自身の作品・生活に対する厳しい自己批評……。
娘だけでなく、これまで誰も知らなかった「作家・藤沢周平」の姿がある。
文庫化にあたり、貴重な写真を追加。
解説・後藤正治「藤沢周平の源流」
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