担当編集者より

「好きなもの見つけ、一生懸命に努力ましょう」
「夢は諦めなければ、いつか叶います」
　少なくとも、著者、そしてこの物語の主人公と同じ時代に学校教育を受けてきた私は、教師からそんなふうに言われ続けてきたことをよく覚えています。青春とはあるいは、その試行錯誤のプロセスのこと、と言い換えてもいいかもしれません。
　けれど、夢に破れた時、夢を諦めなければならなくなった時、どんなふうに対処すればよいかまでを教えてくれた先生はいなかったように思います。
　青春を目一杯、「好き」と「夢の実現」に費やした時、そして残念ながらそれが実りを得なかった時、私たちはどんなふうに次の一歩を踏み出せば良いのか……。人生を諦めるには早すぎ、しかし、人生を軌道修正するには遅すぎる。そんな窮地に追い込まれてしまう人は、きっと少なくないと思います。主人公と同じように。
　デビュー以来、青春の煌めきを描き続けてきた著者だからこそ書けた「青春のおわりの風景」がこの物語には収められています。青春の黄昏時、あなたならどんな選択をするでしょうか。