二〇〇九年は鯛焼きが誕生して百年という節目を迎えブームとなっているが、今川焼もお忘れなく。作家にしてギタリストの深沢七郎は、今川焼屋の主人でもあった。東京の下町、東武線曳舟駅近くで「夢屋」を開店したばかりの深沢七郎の「一日女房」になったのが、作家の大庭みな子だった。
〈わたしの夢は惚れている男に我儘の放題をつくしたいということだ。しかし、こんな夢は生涯かなえられそうもない悲願だと諦めてもいる。深沢さんには昔から憧れていたが、小説以外にも素敵に美味いお味噌や今川焼をつくれる方だということがわかり、一層熱をあげている。今川焼を焼いて一生暮してもよいと思うが、我儘放題のほうはダメだろうから、まあ一日女房というのが無難だろう〉(「別冊文藝春秋」昭和四十六年=一九七一年十二月号グラビア「一日亭主」より)
この「一日亭主」なる企画には、安岡章太郎と佐藤愛子、吉行淳之介と津村節子、野坂昭如と田辺聖子といった人気作家の「一日夫婦」が登場した。当時なぜこのような企画が生まれたのか、今となってはナゾだ。
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