阪急東宝グループの創業者小林一三は、明治六年(一八七三年)生まれ。阪急電鉄をはじめとする交通、住宅開発、百貨店、さらに宝塚歌劇団、プロ野球阪急ブレーブスの興行など、関西を中心に数多くの事業を手がけた。また、数々の美術品の収集家、茶人として知られ、そのコレクションは逸翁美術館に残っている。
写真は、「文藝春秋」昭和二十八年(一九五三年)六月増刊号のグラビア企画「各界動物見立」で、白ぎつねにたとえられた晩年の小林一三。
年古りし白ぎつね
智恵長けし白ぎつね
電鉄の車輪上向け
高々と台座につけ
金色の光燦然
仰ぎ見しもろもろは
かしこしや正一位
あらたかや大明神
ああ金色を彩る朱丹と
眼くらみつまなこ見張りぬ
朱丹それ宝塚なり
金色はそれ電気にして…… (近藤日出造)
昭和三十二年没。