有吉佐和子は昭和六年(一九三一年)生まれ。東京女子大短大卒。昭和三十一年、芥川賞候補になった「地唄」で注目され、同じ年に生まれ、「新思潮」の同人だった曽野綾子とともに「才女時代の到来」と評された。
その後「紀ノ川」「香華」「華岡青洲の妻」など多彩な小説世界を開花させた。また、現代的な社会問題にも深く関心を寄せた。戦後一貫して日本人の平均寿命が延びることを手放しで評価する空気のなかで、高齢者問題の深刻化をいちはやく予見する「恍惚の人」(昭和四十七年)が大きな話題を集めた。
〈昨今随一の文壇的話題作は何といっても「恍惚の人」だろう。老いのために次第に人間性を失っていく舅と、それを見つめ世話をし続ける嫁を描いたこの作品はなさけ容赦なく忍び寄る老いの残酷さと人間性の接点を示して大方の議論を呼んだ〉(「文藝春秋」昭和四十八年八月号)
さらに、高度成長期末期に、環境汚染を取り上げた「複合汚染」も社会的に多くの注目を集めた。昭和五十九年没。
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