昭和五十一年(一九七六年)、自民党が会費三万円で三千人を集めた結党二十周年パーティは、さしずめ豪勢な芸能人大会と化した。その司会を務めたのが、元NHKアナウンサーだった宮田輝。
〈主役はむろん、三木総裁や中曽根幹事長と思いきや、これがさにあらず芸能人なのだ。げんに司会の宮田輝議員が「本日は芸術家の方がたくさん、お見えになっています」というほど。乾杯の音頭をとったのが(古今亭)今輔だし、吾妻徳穂が祝辞を述べれば、党歌を発表するのは立川清登といったアンバイ。しかも最後の三本〆は春風亭柳橋。ほかに高橋圭三、小金馬、円歌、アダチ竜光と“多士済済”で、いまさらながら自民党と芸能界の仲の良さを見せ付けられた感じ〉(「週刊文春」昭和五十一年二月五日号)
宮田輝は大正十年(一九二一年)生まれ。昭和十七年NHK入局。「紅白歌合戦」の司会を通算十五回務めた。「ふるさとの歌まつり」を自ら企画、司会を担当。番組冒頭の挨拶「おばんです」が流行語になる。昭和四十九年NHKを退社し、参議院選挙に自民党から立候補。トップ当選を果たした。平成二年(一九九〇年)没。
自民党の屋台骨を揺るがすロッキード事件が発覚するのはこの直後のことである。
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