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東京裁判の不当性を訴えた清瀬一郎

東京裁判の不当性を訴えた清瀬一郎

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 清瀬一郎は明治十七年(一八八四年)生まれ。京都帝国大学卒業後、弁護士を開業する。大正九年(一九二〇年)、立憲国民党から総選挙に立候補し、当選。普通選挙法を推進、台湾議会設置運動を支援し、治安維持法にも反対するなど、リベラルな政治姿勢をとってきた。  

 昭和三年(一九二八年)、衆議院副議長になる。その後次第に親軍的な傾向を強め、五・一五事件の被告弁護人を務めた。昭和二十一年一月、GHQ により公職追放されるが、極東国際軍事裁判(東京裁判)では、日本側弁護団副団長と東條英機元首相の主任弁護人を務めた。ちなみに東條と清瀬は同年生まれ である。ここで清瀬は、ポツダム宣言に存在しなかった「人道に対する罪」「平和に対する罪」を否定し、「われわれがここに求めんとする真理は、一方の当事 者が全然正しく、他方が絶対不正であるということではありませぬ」と裁判の不当性を訴えた。

 追放解除後、政界に復帰し、鳩山内閣で文部大臣を務めた。昭和三十五年、衆議院議長に就任。日米安全保障条約の強行採決を行った。晩年は、「黒い霧事件」など政界の汚職事件では自民党の綱紀粛正調査会の会長として、政界浄化を訴えた。

 写真は昭和四年五月二十四日、ラジオに法学博士の肩書きで出演、「発明は文化の源泉なり」と題して講演した時に撮影されたもの。

 昭和四十二年没。

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