青森県が生んだ版画家・棟方志功は明治三十六年(一九〇三年)生まれ。ゴッホにあこがれて画家を志し上京。のちに、版画に転じて広く才能を認められる。仏教の影響を受けた作品が多く、「釈迦十大弟子」はサンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞、ベネチア・ビエンナーレで国際版画大賞をそれぞれ受賞。国際的にも高い評価を受けた。
〈私は元来、ヘたくそなんだなァ。でもへたくそだからいいと思っているんです。今はじょうずな人が多いですね。うますぎるぐらいだな。そういうのを“じょうずくそ”って呼んでいるんですよ〉(文藝春秋昭和四十三年=一九六八年一二月号)。
故郷への愛情はこのうえなく深かった。日本経済新聞連載の「私の履歴書」の最終回(昭和四十九年十月十五日付け)には、
〈故郷の土に生まれ、その土にかえるわたくしは、青森の泣きも笑いも切なさも憂いも、みんな大好きなモノです。ナントモ言えない、言いきれない、湧然没然があるのです。――またそれだからこその「青森」です。アオモリです〉
と思いを込めて綴っている。
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