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『月光仮面』の生みの親、川内康範

『月光仮面』の生みの親、川内康範

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

「月光仮面」の生みの親、川内康範は大正九年(一九二〇年)に函館に生まれた。父親が出家し、母親にいわれて供物をホームレスにほどこす少年時代を送った。物書きになることをめざして、中学もまともに通わず、映画のシナリオを独学で勉強した。夕張や上野で転々と肉体労働をしながら、機会をうかがった。そして苦労の末に、東宝の演劇部で働くこととなり、映画の制作に携わる。

 戦争中は横須賀海兵団に応召するが、結核の疑いがあって、兵役を免除された。戦後、「君こそわが命」「骨まで愛して」など自作の連載小説が映画化され、作詞した主題歌も大ヒットした。そして、テレビ草創期にテレビドラマ史上に残る名作「月光仮面」を手がける。

〈あれは薬師如来の脇侍である日光・月光菩薩から発想したんです。「憎むな、殺すな、赦しましょう」という教えが「月光仮面」を執筆していた時の基本理念でね〉(「週刊文春」平成十九年=二〇〇七年六月二十八日号「新・家の履歴書」より)

 平成二十年没。

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