伊丹十三は、映画監督、俳優、エッセイスト、イラストレーターと多彩な才能を発揮したが、料理の腕前も一級だった。フランス料理を実際に作ってゲストに食事をふるまいながら対談するという手の込んだ一冊、『フランス料理を私と』を上梓。写真のときは精神分析学者の岸田 秀氏をゲストに迎え、平目の蒸し煮、シャンパン・ソース、取り合わせ野菜のコリアンダー風味、仔羊肉のノワゼット(輪切り)モリーユ添えを味わった。
〈一番食べる物が無い時代に育って、従ってその頃の母親たちというのは子供にひもじい思いをさせて申しわけないという気持をいつも持ってたと思うんですよね。で、そういう時代には母親の愛情表現と食べ物というのが、今よりもっと緊密に、うっとうしく絡みあってるんじゃないか。(中略)われわれ昭和ひと桁世代にとっては、食べるということが単に食べるということのみにとどまってはくれない〉(「同書」より)
伊丹十三は昭和八年(一九三三年)生まれ。平成九年(一九九七年)没。
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