絶対王政時代の17世紀ヨーロッパ。オランダは王を戴かず、経済の力で大国になった。海洋貿易、軍事、科学技術で世界を牽引し、文化・芸術も大きく花開いた。
「他国では王侯貴族や教会の占有物だった絵画が、フェルメールの生きた十七世紀オランダでは庶民の家の壁にもふつうに飾られていました。
フランス印象派より二世紀も先に、庶民のための芸術が生まれていたのです」(あとがきより)
フェルメール、ハイデンの風景画からは市民の楽しげな暮らしが見て取れる。
レンブラント、ハルスの集団肖像画は自警団の誇りと豊かさを、
ロイスダールの風車画はオランダ人の開拓魂を、
バクハイゼンの帆船画は東インド会社の隆盛と経済繁栄を伝える。
ヤン・ブリューゲル二世はチューリップ・バブルに熱狂した意外な一面を描き、
ステーンが描く陽気な家族からは、人々の愉快な歌声まで聞こえる。
フェルメールが生きたのは、こんなにも熱気あふれる“奇跡の時代”だった。
人々は何に熱狂し、何と闘い、どれほど心豊かに生きたか――15のテーマで立体的に浮かび上がる。
『怖い絵』著者・中野京子が贈る《名画×西洋史》新シリーズ誕生!
絵画40点フルカラー掲載。
2022年開催『ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展』で来日中の『窓辺で手紙を読む女』の修復前後の絵も収録(「手紙」の章)。
本書を読むと、美術展の楽しみも倍増です!
中野京子と読み解く フェルメールとオランダ黄金時代 目次
◆都市
フェルメール『デルフト眺望』
ハイデン『アムステルダム旧教会とアウデゼイズ・フォールブルグワル運河の眺め』
◆独立戦争
ベラスケス『ブレダ開城』
ルーベンス『戦争の惨禍』
◆市民隊
ハルス『ハールレムの聖ゲオルギウス市民隊幹部の宴会』
レンブラント『夜警』
◆女性たち
ハルス『ハールレム養老院の女性理事たち』
メーリアン『コショウソウとスリナムのヒキガエル』
フェルメール『真珠の耳飾りの少女』
◆必需品
エーリンハ『画家と読みものをする女性、掃除をする召使のいる室内』
フェルメール『信仰の寓意』
ステーン『陽気な家族』
◆宗教
ウィッテ『ゴシック教会の内部』
フェルメール『真珠の首飾り』
レンブラント『放蕩息子の帰還』
◆風車と帆船
ロイスダール『ワイク・バイ・ドゥールステーデの風車』
バクハイゼン『アムステルダムのアイ港のフリゲート艦︿デ・プルーフ﹀』
◆東インド会社
ステーンウェイク『静物。虚栄の寓意』
ロンギ『サイのクララ』
◆実学志向
フェルメール『地理学者』
レンブラント『テュルプ博士の解剖学講義』
スワネンブルク『ライデン大学解剖劇場』
◆食材
フェルメール『牛乳を注ぐ女』
ペーテルス『魚の静物画』
ポッテル『雄牛』
◆チューリップ・バブル
ボロンヒヤ『花の静物画』
ヤン・ブリューゲル二世『チューリップ・マニア』
◆悪場所
ボルフ『父の訓戒』
ヴィレ『父の訓戒』(複製版画)
フェルメール『取り持ち女』
◆事件
サーンレダム『ベーフェルウェイクに打ち上げられた鯨』
プール『一六五四年の爆発後のデルフトの眺め』
バーン『デ・ウィット兄弟の亡骸』
◆手紙
メツー『手紙を書く男』『手紙を読む女』
フェルメール『窓辺で手紙を読む女』
◆遊び
ステーン『宿屋の外で九柱戯をする人々』
アーフェルカンプ『スケーターたちの冬景色』
ヘイスブレヒツ『トロンプ・ルイユ、絵画の裏』
*地図、年表、絵をクローズアップしたクイズ付き
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