高校一年の夏、ぼくは彼に恋をした。
「ぼく」(羽田海)は、血の繋がらない継母の美佐子さんと二人暮らしをしている。
ぼくが高校一年の夏に、美佐子さんの仕事の都合で引っ越しをすることになった。前の町で美佐子さんが勤めていた印刷会社が倒産したのだ。
幼いころは父さんと母さんがいたけれど、ぼくが六歳のときに母さんは家を出ていき、その後美佐子さんと結婚した父さんもどこかに行ってしまった。
勉強も好きじゃないし、運動も得意じゃない。いつか美佐子さんとも離れなくちゃいけない。
そんなとき、「ぼく」は、転校先の高校で忍と出会った……。出会ってしまった。
新刊『ぼくは青くて透明で』を著者の窪美澄さんが朗読します。
ぼく(羽田海)が転校先で長岡忍に運命的な出会いを果す前――「空気みたいな羽田君」の心のうちに広がっていた思いに迫る、第一話冒頭部分をお届けします。
週刊文春WOMAN連載時から大きな話題を呼んだ、窪美澄さん『ぼくは青くて透明で』がついに書籍化! 執筆時の秘話や作品に込めた思いを担当編集が伺います。
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