決断力に欠け、情報を軽視し、従来のやり方に固執して、責任をとろうともしない。
これは、太平洋戦争の指揮官たちにみられる共通の悪弊である。なぜ、こういうリーダーしか日本陸海軍は戴けなかったのか。エリート参謀たちの暴走を許したものは何だったのか。日露戦争時には東郷平八郎、大山巖という名将、そして秋山真之という名参謀がいたのに、どこでどう間違えてしまったのか。
現代にも通じる「日本型リーダー」が生まれたプロセスを、日本陸海軍の組織、人事、教育の面から徹底的に解明。絶大な権力を握っていた陸軍の「派遣参謀」、適材適所の人事を阻んだ日本海軍の「軍令承行令」、単なる軍事オタクしか養成できなかった陸大・海大の教育など、実例に沿って失敗の原因をつぶさに検証する。〝歴史探偵″を称する筆者が、直接会って聞いた生き残りの将、参謀の生々しい証言も傍証となっている。
リーダーの不在を嘆く前に、リーダーシップとは何か、どういう人がふさわしいのかと、我々は真剣に考えてきたのだろうか。あの戦争の失敗に、果たして真摯に向き合ってきたのだろうか。長年、昭和史研究に携わってきた著者の熱いメッセージが込められています。
【目次より】
第一章 「リーダーシップ」の成立したとき
第二章 「参謀とは何か」を考える
第三章 日本の参謀六つのタイプ
第四章 太平洋戦争にみるリーダーシップⅠ.
第五章 太平洋戦争にみるリーダーシップⅡ.
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