向上高等学校(神奈川県伊勢原市・私立)
等々力萌夏さん(2016年4月から3年生)
このイベントへの参加が決まったとき、私は楽しみなような怖いような不思議な気持ちになりました。高校生直木賞の選考会で討論するために何度も何度も読み返して、実際に私の中で一番に推したいと思える本の作家さんに会えるなんて「本の虫」にとって何事にも代えがたい体験です。しかし私は緊張しやすい性格なので、あこがれの作家さんにお会いしてまともにお話しができるかどうかが心配でした。
ところが実際に参加してみると、木下さんは関西人らしいとても気さくで楽しい方で、「小説家ってモテるんですか?」など私たちのかなり突っ込んだ質問にも笑顔で答えてくださいました。五月の選考会でお会いした乙部さんと近藤さんとも、また熱く本のお話ができて楽しかったです。読書が何よりも好きな「本の虫」にとって夢のような体験ができたと思います。
私を含めた多くの「本の虫」たちは本さえあれば自分の世界を構成できます。それが雑踏の喧騒の中であろうとも、静かな自分の部屋であろうとも。そのあまりの手軽さに、「本の虫」たちは行動することが少なくなりがちなのではないでしょうか。私はこの高校生直木賞の選考会やトークバトルに参加して、行動することの大切さを知りました。自分だけの本の世界に浸るのも楽しいですが、その世界を誰かと共有することでさらに世界が広がります。まだ行動を起こせないでいる「本の虫」たちにも、この感動を味わってほしいと思います。