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犬養毅暗殺直前の演説

犬養毅暗殺直前の演説

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 写真の日付けは昭和七年(一九三二年)五月一日とあり、首相官邸で撮影された。日本放送協会のラジオ聴取者契約数百万人突破を記念して、犬養毅首相により時局政治講演が行われた時の姿である。

 犬養毅は、郵便報知新聞の記者として西南の役に従軍。明治十六年(一八八二年)大隈重信が結成した立憲改進党に参加し、政治家の道を歩む。一九一〇年立憲国民党を創立、一九二二年には革新倶楽部を組織し、護憲運動の中心的な存在として活躍する。昭和四年(一九二九年)政友会総裁に就任し、二年後政友会内閣を組織した。

 このラジオ講演で、犬養は政権にとっての応急の問題として、満洲の治安の回復(前年に満州事変勃発)と、国内の不景気の克服をあげ、また、根本の問題としてシナ(中国)との関係を国際問題として如何に解決するかを述べた。

 放送は五月五日。十日後、海軍青年将校を中心として行われたクーデタ(五・一五事件)で、首相官邸のほか警視庁・日本銀行が襲われ、犬養首相は「話せばわかる」の名言を残して凶弾に斃れた。

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