ボクシングで日本人としてはじめて世界チャンピオンになったのが、白井義男だった。
大正十二年(一九二三年)生まれ。小学校六年生のとき、地元・荒川(東京)のサーカスの余興でカンガルーと対戦したのが、ボクシングをはじめたきっかけだった。
戦後、都内のジムで練習中に、GHQ職員で生物学者だったアルビン・R・カーン博士の目に留まる。栄養面も含めたカーン博士の科学的な指導のもと、オーソドックスなスタイルの技術を身につけた白井は、日本フライ級、バンタム級の二階級を制覇。昭和二十七年(一九五二年)、世界フライ級のタイトルに挑戦。王者ダド・マリノ(アメリカ)に判定勝ちを収め、悲願の世界王者となる。
古橋廣之進の水泳世界新記録達成や、湯川秀樹のノーベル物理学賞受賞などの快挙と並んで、敗戦後の暗い時代に日本人に明るい話題をもたらした。
写真は、昭和二十六年に撮影。平成十五年(二〇〇三年)没。
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