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ペンキ屋を夢見たお殿様・有馬頼

ペンキ屋を夢見たお殿様・有馬頼

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 久留米藩主有馬家の第十六代当主だった作家有馬頼義(よりちか)は、ペンキ屋になりたかったという。

〈どうしてペンキ屋になりたかったのだか自分でもよくわからないが・・・・・・小学生の頃、学校へ通う道すじで、新しい看板を描いている人がみつかると、一時間でも二時間でも、それを見ていたものだ。

 自分が絵も字も下手だから、絵に近い字というジャンルに活路を見出したかったのかも知れない〉(「週刊文春」昭和三十九年=一九六四年二月十日号グラビア「私はこれになりたかった」より)

 有馬頼寧伯爵の三男として大正七年(一九一八年)に生まれる。学生時代は野球に熱中し、成蹊高等学校を中退。早稲田第一高等学院に入って小説を書き始める。敗戦後、父が戦犯容疑で拘禁、財産を差し押さえられ、経済的に困窮した。さまざまな職業を経験しながら、昭和二十九年、「終身未決囚」で直木賞を受賞。旺盛に作品を発表するほか、「石の会」を主宰して、自宅に若手作家を集めてパーティを開いた。ここには渡辺淳一、高井有一、色川武大、後藤明生、早乙女貢など後に名をなす数多くの作家が参加した。昭和五十五年没。

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