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あさま山荘事件余話

あさま山荘事件余話

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 昭和四十七年(一九七二年)二月十九日。連合赤軍の五人が長野県軽井沢町のあさま山荘に逃げ込み、管理人の妻を人質に立てこもった。「あさま山荘」事件の始まりである。警察は千百人を動員して包囲したが、ライフル銃で武装した犯人はここに籠城して一週間以上膠着状態が続いた。最前線に送られた小社カメラマンは、

 〈それならそれで工夫した誌面を作るしかない。そこで、機動隊員の持久戦の姿を伝えることにして、彼らの様子を徹底的に撮り続けた。締め切りを過ぎた私には、撤収命令が下った。

 「週刊文春」グラビアページのタイトルは、「持久戦の衣食住」。熱いカップヌードルを美味そうにすする機動隊員の写真が、大きく掲載された。その雑誌を傍らに私はテレビで、突入のシーンを見ていた。歴史的瞬間を伝える彼らを羨ましいと思いながら。

 後に日清食品から、当時の写真をCMに使いたいと頼まれた。私の写真も歴史に残ったのだ〉

(週刊文春二〇〇八年五月十五日号)

 カップヌードルはこの事件をきっかけに爆発的に売れるようになり、今や八〇億食を突破する世界に冠たる食品となった。

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