自宅の居間で、ヴェルディのレクイエムを聞きながら歩いているのは、ソニーの盛田昭夫社長(当時)。
大正十年(一九二一年)生まれ。井深 大とともに東京通信工業を世界のソニーに育て上げ、名経営者として名を馳せた。
〈「趣味は仕事」と断言。音楽マニアぶりは仕事に直結するし、二年前、東京・目黒区に新築した邸も、外国からの訪問客のためというニュアンスが強い。『学歴無用論』などの著述から音楽・器械・スポーツと、多岐にわたるチャンネルをもつ。「広いが浅い。凝り性じゃないですからね」とケンソンするわりには、本格的すぎるようにみえる。どの回路も“仕事”に繋がっているかららしい〉(「文藝春秋」昭和四十六年=一九七一年十一月号)
世界に名を知られた行動派ビジネスマンらしい一枚である。