「ナスカの地上絵」ならぬ「滝田の地面絵」である。 昭和四十六年(一九七一年)五月、板橋区高島平団地にて撮影。右側でかがんで犬を描いている後ろ姿が滝田ゆうである。田河水泡に弟子入りし、貸本マンガを描いていたが、かつての花街玉の井で過ごした少年時代を題材にした「寺島町奇譚」を漫画雑誌「ガロ」に発表して、注目を集めた。ノスタルジー感溢れる庶民の生活を細やかなタッチで描くスタイルが評価されて、昭和四十九年「怨恋橋百景」他で文藝春秋漫画賞を受賞。
〈(写真は)玉の井の路地を描いているところ。遊んでいる少年はいつも母に叱られている。母の一声はたちまち少年を「包丁でグサリ」の心境に追い込み、眼を上ずらせる。 “フキダシ”は心象を端的に示す滝田ゆう一流の手法だ〉(週刊文春昭和四十六年七月十二日号)
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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