2014.01.22 日めくり立ち読み『感受体のおどり』

第28番

文: 黒田 夏子 (作家)

登場人物紹介

 練緒(ねりお)の初ぶたいのふりそでには,五しきのひもかざりがゆれていた.ちらちらときんぎんの髪かざりもゆれていた.

 高い黒ぬりのげたをはかす私の肩へ,つかまれと言えばすなおにつかまってきた,手ゆびの,手くびの,あるかないかに,そのとき私にかかってきた重みは,ただひとかさねのきぬの重みでしかなかった.

 あこがれにほそり,いまあるありようから飛びたとうとする渇きに浮いて,たびさきの,足くびの,あるかないかに,なに者にでもなれた,なに者でもなかった練緒(ねりお),練緒(ねりお)でなかった練緒(ねりお)があった.

感受体のおどり
黒田夏子・著

定価:1,850円+税 発売日:2013年12月14日

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