文春写真館

「芝居でメシの食える劇団」を実現した
宇野重吉

文・写真: 「文藝春秋」写真資料部

「芝居でメシの食える劇団」を実現した<br />宇野重吉

 本名寺尾信夫。大正三年(一九一四年)生まれ。旧制福井中学から日本大学に進むが、中退、東京左翼劇場に入る。治安維持法違反で検挙されるなど、苦しい時期を過ごした。戦後、滝沢修らと民衆芸術劇場(第一次民藝)を創設。解散後、昭和二十五年(一九五〇年)、劇団民藝を創設し、ヨーロッパの劇を次々に舞台化した。さまざまな劇団が経営難に苦しむ中、「芝居でメシの食える劇団」を目指し、国内有数の劇団に育て上げた。

 日活が五社協定の締め出しによって俳優不足に苦しんだときに、民藝は同社と提携し、自身を含め、多くの劇団員が日活映画に出演、これがきっかけとなって石原裕次郎との固い縁が結ばれた。テレビでも、NHK大河ドラマ「赤穂浪士」で蜘蛛の陣十郎役で人気となる。

 俳優、演出家、経営者と一人三役をこなす多忙な日々を送ったが、

「僕はこの劇団の中で、やらなけばならない仕事をやっているだけで、俳優は自分の役ばかりでなしに、全体の仕組みを知っておかなければならないんです。演出には特別な資格なんかいらない。いい芝居をみせれば良い。その場合でも劇団の財政や経営事情を考えて行動する。ただそれだけですよ」(「文藝春秋」昭和四十年五月号「日本の顔」より)

 写真はこのとき撮影。

 昭和六十三年没。歌手で俳優の寺尾聰は長男である。

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