杉原輝雄は昭和十二年(一九三七年)、大阪府生まれ。中学卒業後、ゴルフを始め、昭和三十二年、プロに転向。昭和三十七年、日本オープンゴルフ選手権で初優勝を飾った。身長百六十センチとプロゴルファーとしてはかなり小柄である。しかも、独特のスイング。日米対抗ゴルフに参加したときは、試合前の練習を見たアメリカ・チームのキャプテンから、一人アマチュアと間違われて、「ギャラリーに怪我をされても困るから、やめさせてほしい」と苦情を言われたこともあるという。
ドライバーの飛距離が他の選手に比べて劣り、第二打ははるか後方から打つことを余儀なくされる。その彼が、居並ぶ大男たちに混じって、黙々と試合を進め、数知れぬビッグ・タイトルを手中に収め続けてきた。
昭和五十九年、日本プロゴルフ選手会初代会長となる。
杉原は、非力なアマチュアにアドバイスを残している。
〈サンデー・ゴルファーは試合前日に練習なんかしないほうがいい。ドライバーをふりまわしたって、見えない疲れが残るだけで、効果はないんです。小さなクラブでコントロール・ショットの練習だけやっておけばいい。それも、トータルで百発が限度と覚えておくこと〉
〈アマチュアは、ヒジが曲れば曲ったでよし、絶対に自分の自然のフォームを崩さず、それが一つの型になるまで、一生懸命、球を打つことですよ〉(「週刊文春」昭和五十年一月八日号「飛ばなくてもゴルフは勝てる」より)
写真は平成元年(一九八九年)八月、ダイワKBCオーガスタに優勝したときに撮影。
平成九年(一九九七年)、前立腺ガンの告知を受けるが、生涯現役を貫いた。平成二十三年(二〇一一)没。
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