探偵小説が推理小説と呼ばれるようになったのはいつの頃のことだろうか。推理ブームの生みの親といわれる江戸川乱歩は、本名平井太郎。日本の推理小説を語る上で欠くことのできない大きな存在である。
〈創作ばかりでなく、現在の推理小説ブームを作りあげた功績も忘れてはならない。推理小説で、直木賞をうけた演劇評論家・戸板康二氏に畠違いの小説を書くようすすめたのは他ならぬ、江戸川氏だった〉(「週刊文春」昭和三十五年〈一九六〇年〉四月十一日号)
訪れた科学警察研究所の廊下で、ピストルをかまえてみせる江戸川乱歩。
創刊一周年を迎えたばかりの「週刊文春」に掲載されたのは、推理小説の大御所らしい風格とサービス精神あふれる一枚である。
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