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歴代総理経験者が一堂に会した<br />中川家の披露宴

歴代総理経験者が一堂に会した
中川家の披露宴

文・写真:「文藝春秋」写真資料部

 昭和五十七年(一九八二年)六月五日、当時オープンして間もない新高輪プリンスホテル「飛天の間」でまばゆいばかりの披露宴を開いたのは、中川昭一・郁子(ゆうこ)夫妻である。写真で招待客を迎えているのは、左より新郎の父・中川一郎、媒酌人の福田赳夫元首相、そして新郎と新婦。

 なんと言っても豪華なのは出席者の顔ぶれ。サミット出席で日本にいなかった鈴木善幸首相をのぞき、岸信介、田中角栄、三木武夫といった歴代総理経験者が一同に会した。このほか、政治家ではポスト鈴木をうかがう中曽根康弘、河本敏夫や田中派の重鎮金丸信。野党では公明党から矢野絢也、大久保直彦に新自由クラブの山口敏夫、民社党から春日一幸。財界からは永野重雄をはじめ宮崎輝旭化成社長、東急グループの総帥五島昇、小林与三次読売新聞社長。そして、マンスフィールド米駐日大使、千代の富士、長嶋茂雄、藤純子といった華やかな顔ぶれも姿を見せて、二千人を越える客が招かれた空前の披露宴となった。ちなみに、乾杯の音頭をとったのは、石原慎太郎。受付は浜田幸一がしおらしくつとめた。

 当時、科学技術庁長官だった中川一郎。鈴木善幸総理の「次の次」、すなわちニューリーダーと呼ばれた、安倍晋太郎、竹下登、宮沢喜一といった期待の星の一人として数えあげられてはいたものの、やや出遅れ感はあった。しかし、この日だけは喜びもひとしおかつ得意満面であったにちがいない。

 中川一郎が自死をとげたのは、これからわずか半年後のこと。享年五十七だった。父の後を継ぎ、自民党でも要職を歴任した中川昭一も、働き盛りの五十六歳という若さで亡くなった。そして郁子は、今度は夫の遺志を継ぐ形で先の衆議院選挙で当選、代議士となったのである。

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