今の政界で兄弟といえば、鳩山由紀夫と邦夫が有名だが、戦後の保守政治を担った岸信介・佐藤栄作兄弟はともに内閣総理大臣を務めた。
「文藝春秋」昭和二十九年(一九五四年)一月号の対談「兄弟は他人のはじまりか?」に登場した岸信介・佐藤栄作兄弟。
岸は、当時絶大な権力を誇った吉田首相を引き合いにだして、子供の頃の兄弟の力関係を吉田ワンマンと陣笠代議士の違いよりもなお違うと指摘した。
五歳下の佐藤は中学が同じ、高校でもドイツ法を履修。ともに高等文官試験に東大在学中に合格し、兄は商工省へ、弟は鉄道省へ。戦後ともに代議士となるが、当時は同じ選挙区から選出されていた。
〈岸 政界では一体岸と佐藤は仲がいいのか悪いのかということが大分問題になるらしいね。ある奴はあまり仲のいいのを見せるものじゃないなんて云うし、ある奴は心配して仲が悪いんじゃないか、とりもとうと云って来るのもおるんですがね〉
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