まるで昔のSF映画のワン・シーンを思わせるような一枚。昭和四年(一九二九年)八月十九日。ドイツの飛行船ツェッペリン伯号が、霞ヶ浦に飛来した時の模様を伝える写真である。二十日付けの朝日新聞はこの時の様子を大々的に報じた。
「太平洋上遥かに空の大怪物を迎ふ」
「観衆で埋まる霞ケ浦 巨船の飛来今やおそしと刻々加はる大混雑」
アポロ宇宙船による人類初の月面着陸時もかくやと思われるハシャギぶりである。
ドイツが世界に誇るツェッペリン社の巨大飛行船は航続距離と積載力に優れ、一九三〇年代ヨーロッパとアメリカを結ぶ長距離航空路線を担った。しかし、昭和十二年(一九三七年)、最新鋭を誇ったヒンデンブルク号が米ニュージャージー州で着陸途中に火災を起こして墜落、死者三十六人を出す事故を起こす。定期旅客飛行は中止され、ツェッペリン社も数年後には事業から撤退した。
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