- 2023.11.23
- 特集
胸を炙られるような、鮮烈な痛みと優しさを感じます。ぜひともたくさんの人に、その人なりの読み方をしてほしい――目利きの書店員さんからのコメント続々!
『佐々田は友達』(スタニング沢村)感想
ジャンル :
#コミック・コミックエッセイ
『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました』『女の体をゆるすまで』で知られるペス山ポピーさんがペンネームをスタニング沢村と改め、はじめて長編フィクションに挑戦した『佐々田は友達』のコミックス第1巻が発売されました。
あらすじ
高校2年生がはじまって1週間。まだクラスの中に居場所を見つけられない佐々田絵美は、放課後がおとずれるのが何よりの楽しみ。 無心で歩く、昼とも夕方ともつかぬ金色の帰り道、いつもと違う寄り道をした先で、佐々田が出会ったのは、クラスいちの騒がしい同級生・高橋優希。 他人との“距離感”の違うふたりは、少しずつ“変身”していくことになります……。
◇ ◇ ◇
発売に先立ち、第1巻を読んでいただいた書店員さんたちから到着した熱いコメントをご紹介します! 読者のみなさまの感想も、ぜひ編集部宛にお届けください。
世間が決めた「友達」のカテゴライズにのらないカンケイがあってもいい。二人の間だけにある「友達」カンケイがあっていいと思います。そんなことを主張したくなるマンガでした。
金高堂書店・澤村さま
クラスのグループの雰囲気、カースト上位の空気感、人に怒られてしまった佐々田の気持の抱え方、なんて描写がうまいのだろう…と、しばらくボーっとしてしまいました。
心に秘めたモヤモヤや、悪口気味のセリフなどが嫌に感じない(絵柄がほんわかしてるので)だけどものすごくリアルでした。ぜひ続きを読みたい作品‼
丸善 日吉東急アベニュー店・館石さま
じっくりと読ませて頂きました。というかじっくり読めるマンガでした。
この学生生活も、友達も、青春も、好きなことも、日常も、とても良い距離感と雰囲気があって、優しいマンガでした。友達でさえ、ずっとその関係を保つのは全員として難しいと思いますが、その中でも一生長く付き合う友達もいるわけで、佐々田と高橋はその関係になるのかなと、見守っていきたいと思います。
三省堂書店海老名店・近西良昌さま
読み終わると、きっと誰かしら自分の過去と重ねてしまうのではないだろうか。
〔高校生〕という、まだまだ幼くて手を引っぱってもらわないと歩いていけないことはつきつけられる。
私の時代よりも個人の「声」をあげやすくなっているものの、100人いれば100通りの答えがあって全てを理解することは本当に難しいと思う。
「友達」とはなんなのか。このシンプルな問いの難しさを改めて感じた。
柏の葉蔦屋書店・須藤亜希子さま
さほど起伏の無い物語なのに、台詞のひとつひとつが、コマの端の情景が、私の胸を掴んで離してくれませんでした。高橋と佐々田のやりとりを中心に、「別に嫌ったり見下してはいないけれど苦手な人たち」の雰囲気が、私が今まで通り過ぎてきた数々の記憶と重なり、知らず泣きそうになりました。そして最後に明かされる佐々田の秘めた願い。作者さんが書いてらしたとおり、「佐々田は友達」のタイトルで行きつく先は決まっている、のがさらに胸を炙られるような、鮮烈な痛みと優しさを感じます。ぜひともたくさんの人に読んで頂いて、その人なりの読み方をしてほしい。
田村書店吹田さんくす店・村上望美さま
「友達」ってなんだろう?
読み込み何度も飲み込んだ言葉だが、やはりシンプルに難しいなと感じてしまう。
私自身 それに真剣に向き合ったことはこれまで無かったかもしれない。
ただ、難しいと同時に愛しくもある。
その全ての複雑な感情がこの作品の端々に詰め込まれているような気がします。
「友達」はまだまだ分からないけど、なんだかすっと背中を摩って落ち着かせてくれるような心地よさも感じさせる作品でした。
未来屋書店新浦安店・寺島美芙由さま
佐々田が見る世界のなんと豊かで美しいことか。
ひときわ目立つ高橋さん、グループの子、クラスメイト達…^^
佐々田の「友達」を通した、その多様な関わり合い、繊細な機微に心揺さぶられます。
あゆみBOOKS平和台店・伊藤さんごさま
佐々田とそれを取り巻く人間関係を見ていると、胸がざわざわする。でもワクワクしたり、クスっと笑えたりする。
不思議な距離感の、正反対のようにも思える二人には、何かが変わったとしても何も変わらないでいてほしい。
そうしてほんの少しでも、佐々田の、誰かの、生き辛さがなくなる世界になればいいなと願う。
未来屋書店明石店・井村有希さま
佐々田と高橋。
凸凹コンビで補い合えるのでは!
「距離感が欲しい」と言われてちゃんと考えている優希も偉いなぁ…と。
今後の2人の関係が楽しみです
文真堂書店ビバモール本庄店・山本智子さま
お話の合間に出てくる自然の表現が綺麗でした。帰り道の道端にある植物たち、カナヘビのまばたき、心臓の動き、森の中の匂い、木漏れ日、作者の方もきっと自然がお好きなのだろうと思いました。タイプの違う2人が周りの友達と共にどう成長していくのか楽しみです。
マルサン書店サントムーン店・川澄さま
学校生活のささいな事、友人たちの会話、先生、すべてが伝わる。誰しもこんなことあったなあと感じさせる作品。主人公「佐々田」さん、もの静かだけど、周りの人たちを大切にしていて、好きなものも大事にして、揺るがないところ、好きです。
匿名希望
なんてことのない日常の裏にある、今の学生の生きにくさがじわじわと伝わってくる作品でした。
匿名希望
大きく異なる個性を持つ2人が、それぞれの成長を伴いながら程よい距離感を探っていく。
その結果友達と呼べる関係となれたなら、それはとてつもない幸運だなと。
そんな事を感じました。
匿名希望
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