旅と酒の歌人・若山牧水は、恋の歌人でもあった――。
白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ
幾山河越えさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく
これらの名歌が生まれた背景には、小枝子という女性との痛切な恋があった。
若き日をささげた恋人の持つ秘密とは?
恋の絶頂から疑惑、別れまでの秀歌を、高校時代から牧水の短歌に共感し、
影響を受けてきた俵万智が丁寧に読みこみ、徹底した調査と鋭い読みで、二人の恋をよみがえらせる。スリリングな評伝文学。
第29回宮日出版文化賞特別大賞受賞作。
『ぼく、牧水!』の共著がある俳優・堺雅人氏も絶賛。
〈俵さんは、ご自身の体験さえ曝けだしながら牧水の恋に迫る。自分はこんな状況のときこんな歌をうたったから、牧水もきっとそうだろう、という具合に。その考察は容赦ないけれど、小動物を解剖する子どもみたいに、いきいきしている。よみおわったとき「牧水の恋」そのものが、ひとつの生き物のように感じられた。〉 (推薦コメントより一部を抜粋)
「解説」は牧水研究の第一人者・伊藤一彦氏(堺氏の高校時代の恩師で、『ぼく、牧水!』の共著者)。
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