牛、馬、猪、鹿、鴨、鳩、鯨、羊、すっぽん、内臓……
「人はなぜ肉を食べるのか」
問いを掲げた平松さんは、日本全国十か所をめぐり、十種の「肉」と
人とのかかわりを徹底取材。ひとつの文化として肉をめぐる諸相をとらえ、
動物とその肉について、見て、聞いて、食べて、深くその根源を考えた
前代未聞のルポルタージュ。
胸骨の端にそっと指を入れて横隔膜といっしょに引き上げると、紫色に光る
かたまりがぽろんと現れた。 (中略)ぷりっぷりのレバーの一片をそっと口の
なかに入れた。(本文 4章「鳩」より)
「生きもの」が「食べもの」になるまでの間には実に様々な工夫や技術が介在し、
「うまい肉はつくられる」ことがわかる。
信念を貫き、魅力的な多くの日本人の「仕事」の
歴史にも光を当てたエキサイティングな傑作ノンフィクション。
解説 角幡唯介
はじめに
1章 羊 (北海道・白糠)羊男たち一万年のロマン
2章 猪 (島根・美郷町) 害獣を恵みに変える挑戦
3章 鹿 (埼玉~山梨・奥秩父) 鹿を狩る
4章 鳩 (東京・門前仲町) 「肉にも旬がある」
5章 鴨 (石川・加賀) 江戸伝来「坂網猟」を引き継ぐ
6章 牛 (北海道・襟裳岬) 短角牛とともに生きる
7章 内臓 (東京・品川)「うまい」をつくり出す現場
8章 馬 (熊本) 馬肉文化を守り抜く
9章 すっぽん (静岡・舞阪) 「露地養殖」が育む異界の味
10章 鯨 (千葉・和田浦) ツチ鯨漁の現在
解説 肉食の背後にあるもの 角幡唯介
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