書名(かな) | みなみのはる |
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ページ数 | 328ページ |
判型・造本・装丁 | 四六判 軽装 並製カバー装 |
初版奥付日 | 2025年03月10日 |
ISBN | 978-4-16-391955-3 |
Cコード | 0093 |
『銀花の蔵』で直木賞候補、
いま注目の作家が放つ“傑作家族小説”!
売れない芸人を続ける娘、夫の隠し子疑惑が発覚した妻、父と血のつながらない高校生……
大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。
◎松虫通のファミリア
「ピアニストになってほしい」亡妻の願いをかなえるために英才教育を施した娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災で娘を亡くした吾郎は、5歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる。
◎ミナミの春、万国の春
元相方のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」。ハルミ亡き後も追い続けたが、後ろ姿は遠く、ヒデヨシは漫才師を辞めた。2025年、万博の春に結婚を決めたハルミの娘のため、ヒデヨシは「カサブランカ」に会いに行く。
(他、計6篇)
1966(昭和41)年、大阪府生まれ。関西大学文学部独逸文学科卒業。2009(平成21)年、『月桃夜』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。
『雪の鉄樹』が「本の雑誌が選ぶ2016年度文庫ベスト10』第1位に、『オブリヴィオン』が「本の雑誌が選ぶ2017年度ベスト10」第1位に輝く。
『冬雷』で第1回未来屋小説大賞を受賞、2020年『銀花の蔵』で直木賞候補に。
他の著書に『ドライブインまほろば』『廃墟の白墨』『人でなしの櫻』『イオカステの揺籃』などがある。
舞台は1995年~2025年の大阪。遠田潤子さんの新刊『ミナミの春』は、姉妹芸人「カサブランカ」と同時代を生きた人々が偶然にも出会い、人生を交差させる奇跡を描き出します。今回は連載担当と書籍担当が、遠田さんをお招きして物語誕生の裏側を伺いました。この春最も見逃せないラストシーンはどのようにして生まれたのか、迫ります!
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全国の書店員さんから
絶賛の声、続々!!
越賀知春さん今の私なら、全部分かる。
物語で描かれる親の気持ちも、子どもの気持ちも、あの頃の大阪も。
それはきっとすごいことで、私がしっかりと大阪で生きてきた証だ。
物語の中から思い出が匂いと共に鮮やかによみがえってきて、これからの大阪を作るのも自分だ、と思う。
まずは大阪の書店員として、この本をたくさんの人に届けることがスタートだ。
そうすればきっと、大阪のパワーとあたたかさと、家族の絆を感じてもらえると思う。
大阪は、この万博の年に、また生まれ変わるんや!
池尻真由美さんミナミの街に生きる人々の人生の悲喜こもごもが、鮮やかに描き出されていた。
生きていくことは容易くない。思い通りにはいかないし、誰もが苦悩や葛藤を抱えている。
泣き笑いの人生を、必死にもがいて生きていく力強さを、ひしひしと感じた。
物語の最後に見た光景に熱い気持ちが込み上げ、涙がこぼれた。
井上哲也さん遠田潤子さんの新たなる代表作。
浪速節の似合う、大阪ミナミの人間味あふれる群像劇。
いずれの物語も心に染みて、読む者を優しい気持ちにさせ、瞼を熱くさせては、涙をあふれさせる。
脳内風景は幸福の桜色、気分は最高である。
間違い無く五つ星の大傑作!
石坂華月さんどんな人でも見えているものは、ごく一部でしかない。
隠れている部分にどれだけの想いがあるのだろうか。
人の目なんか気にせず好きに生きたらよいのに、それも簡単にはいかない。人というものはどうしようもなく複雑で不器用だ。
遠田潤子さんの描く物語は、どうしてこうも心を捉えて離さないのか。大好きなんやー。
山中真理さん昭和の大阪がある。人の失敗、痛み、苦しみをも、なにしてんねん、あほかと言いながら、人情がじわじわしみてきて、涙をさそう。本心は心の奥に秘められていることがある。素直に心を現せない人にも最後には包みこむ温かさがある。恋愛も仕事も何もうまくいかなかった、夢を叶えることができなかった。でもその時必死で生きてきたことは残っている。大阪の彩りとともに輝いている。大阪が舞台の歌、大阪の芸人の漫才が心と体にしみついて、自分はこの小説の中にずっといるようだ。